2016/11/20

この世界の片隅に

悲しくて悲しくて、とてもやりきれない
このやるせないモヤモヤを、誰かに告げようか・・

イオンシネマ桂川で映画『この世界の片隅に』をレイトショー(1300円)で観てきた。こうの史代原作。戦中、広島から呉へ18歳のすずサンが嫁に行く。満足度★★★★★(+100★)。



今年は、話題作となった『シン・コジラ』も『君の名は。』も良かったが、この『この世界の片隅に』が間違いなく、マイベスト!こうの史代の原作を読んでいたので、ストーリーは熟知していたのだけど、それでも新たに生命力を吹き込まれたアニメーションで、大感動。ここまで「心を大きく揺さぶられる」映画は久しぶりな気がする。

原作を読んだ直後も、映画を観た直後も、 『この世界の片隅に』 ワールドの、「すずサン」およびまわりの「ハートフルな登場人物」から得た感動「とてもやりきれない、やるせないモヤモヤ」をしばらく持ち歩こう。

予告編動画(日本)

2016/11/03

さよならドビュッシー

中山七里『さよならドビュッシー』を読んだ。全身大やけどを負った少女が天才ピアニストの指導の元、コンクールを目指す。スポ根の音楽ミステリー。第8回「このミステリーがすごい!」大賞作品(2010年)。満足度★★★★★。

中山七里『さよならドビュッシー』

本棚に長年眠っていたこの本を、ふと手にして、通勤電車&バスで連日読んでいたのだが、犯人が明かされる場面では「衝撃」が過ぎて、職場前のバス停を二つも乗り過ごしてしまった・・。この衝撃は、今世間を賑わしている映画『君の名は。』の話が急展開する場面(ネタバレになるので自粛)に相当するレベルだった。「そう来たか・・」。これぞ、ミステリーの醍醐味。脳の刺激(ショック療法)にいいな。

「音楽ミステリー」だけに、ドビュッシー作品をはじめ、ピアノ名曲がたくさん登場。『さよならドビュッシー』は、橋本愛主演で映画化もされているので、結末は知ってしまったが、ストーリーとともに主人公が奏でるピアノ演奏曲も聴いてみたい。

「ドビュッシー」と言えば、大学生の時、合同春合宿を一緒に行った岡山大学ヨット部に、ヨット部ネーム「ドビュッシーさん」がいたなぁ。こういうことは、印象強すぎて、よく覚えている。他にも「エログロさん」や「シモネッタさん」という名前も・・。

最近は「ビジネス書」「環境問題」「政治、歴史」関連の本ばかりを読んでいたので、ミステリー小説は久しぶり。今回受けたの「衝撃」で、再び小説熱に点火したかも。四日市移転後は、通勤時間が大幅に短縮されるので、家での「読書時間」を、これまでより多く確保できるかな。

2016/09/25

京都醸造

前から行こうと思いつつ、伸ばし伸ばしになっていた「京都醸造(Kyoto Brewing Company)」へ。

ウエールズ人、カナダ人、アメリカ人の三人が立ち上げた醸造所。ビール工場併設の試飲スペースで、毎週日曜日に「物凄く美味い」と評判のクラフト・ビールが飲める。場所は、九条と十条通の間で、東寺が近い。

6種類のビールが飲め、いずれも1杯600円(400mL)。最近、IPAにはまっているので、今日は『限定醸造 オーツ麦畑でつかまえて』(American IPA)を飲む。これは「アメリカ・ウィスコンシン州産のホップ」「オーツ麦芽」を使用しているのが特徴。ネーミングもイケてるが、飲みごたえも、

「感動の域」を遥かに超越!!!!!!!!!!!!!

これまで飲んだビールの中で、間違いなく1番。こんなビールが地元京都で飲めるとは。京都市民は幸せ者だな。これから毎週通おうかな。

次回は、大阪から来たという人が「日本一」と絶賛していた黒ビール「黒潮の如く」(ベルジャン・スタウト)を飲もう。

京都醸造のクラフトビールを飲んだら、日本人の「ビール観」が変わるのは間違いない、とここに断言します。

■日本醸造
https://kyotobrewing.com/

I went to Kyoto Brewing Company I wanted to go form before.

The brewery set up by three people, Welsh, Canadian and American. In the tasting space with the beer factory, we can drink craft beer that is reputed as "absolutely delicious" every Sunday. The place is between Kujyo-dori Street and Jujyo-dori Street and close to Toji-temple.

We can drink Six kinds of beer, each one is 600 yen (400 mL). Recently, I'm addicted to IPA, so today I drunk American IPA limited brewed named "The Catcher in the Oates wheat field". It is characterized by using 'America / Wisconsin State Hops' and 'Oat Malt'. Naming is also good. And...

It was much more delicious than my touching area!!!!!

It is definitely No. 1 among the beers we have drunk. I'm surprised that we can drink such a craft beer in local Kyoto. I thought Kyoto citizens are very happy people. I will come here every week.

Next time, I will drink a black beer "Belgian Stout"named "Like KUROSHIO(The Japan Current)".  Person who came from Osaka declared that it's Japan's best in black beer.

 I assure here that there is no doubt that the Japanese "beer view" will change when people drink Kyoto brewed craft beer.

京都醸造
Kyoto Brewing co.

6種類のビールから注文
Order from 6 types of beer

「オーツ麦畑でつかまえて」(American IPA)
"The Catcher in the Oates wheat field" (American IPA)

ビール工場の外観
Appearance of the beer factory

今日はホットドッグの店も出店
Hot dog store opened today.

会社の入り口
Entrance of company

醸造所のタンク
Brewery's tank

京都生まれのクラフトビール
Kraft beer born in Kyoto

京都醸造の地図
Map of Kyoto brewing


2016/09/17

陸王

池井戸潤『陸王』を読んだ。足袋作りの老舗が、新規事業の「ランニングシューズ」のモノづくりに挑む。勝利を信じろ!満足度★★★★★。

めちゃめちゃ面白かった。さすが、池井戸作品。モノづくりの「情熱」「現実」「壁」「挫折」「裏切り」「アイデア」「発想の転換」「つながり(紹介、人脈)」「偶然」「チームワーク」「根性」、そして「勝利」がいかんなく描かれている。中小企業vs大企業。資金繰りのリアルな展開。マラソンランナーとシューズメーカー。若者の就職活動の苦難と成長。3回ほど涙する場面あり。ええ話やで。「名言」もたくさんあり。モノづくりに携わる中堅エンジニアとして、モチベーションがかなり上がった。

池井戸潤『陸王』
【語録】

・安い。「高く」ではなく「適正価格」で売れと言っているんだ。安売りしていいことは何もない。「安ければ売れる」というのは、商売を知らない奴の錯覚だ。

・私たちが提供しているのは、シューズだけどシューズじゃない。「魂」なんだよ。モノづくりをする者としての「心意義」というか、「プライド」というかね。

・「ノーリスクの事業」なんてない。ビジネスの原則だ。進むべき道を決めたら、後は「最大限の努力」をして可能性を信じるしかない。でも、実はそれが一番苦しい。「保証のないものを信じる」ってことが。まさに今、直面しているのが「将来を信じることの難しさ」だ。ともすれば困難な現実に打ち負けそうになる。「自分との闘い」でもある。

・ビジネスとは「一人でやるもの」ではない。「理解してくれる協力者」がいて、「技術」があって、「情熱」がある。「ひとつの製品をつくる」こと自体が、「チームでマラソンを走る」ようなものなのだ。

・何かに賭けなければならないときは、必ずある。そうじゃなきゃ、人生なんて面白くない。「人生の賭け」には、それなりの覚悟が必要。そして、勝つためには全力を尽くす。愚痴を言わず、人のせいにせず、できることは全てやる。そして、結果は真摯に受け止める。「全力で頑張っている奴」が、全ての賭けで負けるかとはない。いつかは必ず勝つ。

・必ずしも「品質の高いものなら売れる」というわけではない。「品質が高い」ものならいくらでもある。だけど「品質が低くても、売れるもの」はない。それが現実だと思った方がいい。売れるかどうかは予測不可能。商売ってのは元来、そういうもの。だから面白い。

・中でも特に教えられたのは「人の結びつき」だ。「金儲け」だけでなく、その人が気に入ったから、その人のために何かをしてやる。喜んでもらうために何かをする。カネのことはさておき、納得できるものを、納得できるまで作る。損得勘定なんて所詮、カネの話なんだ。それよりも、もっと楽しくて、苦しいかもしれないけれど、面白くて、素晴らしいことがあるんだな。それを「陸王」が教えてくれた。

・もし、世の中から「おカネっていう価値観」を取り払ったら、後には、「本当に必要なもの」や「大切なもの」だけが残るのだろう。

・「順風満帆の人生」なんてない。とくに経営はそうだ。いつだって苦しい。いまもだ。だけど、私には「全てを失った経験」がある。「絶望」を知っていることが、今や私の強みになり、欠かせないアイデンティティになっているのは、なんとも皮肉なことだ。

・あんなのはいくらでもいる。大企業の看板にあぐらをかいて、仕事の中身よりも、社名や肩書きにプライドを感じる連中が。仕事の質や誠意より、「利益を優先」させるような奴らなんて、世の中にはゴマンといるんだ。むしろ、ああいう奴らの方が多数派かもしれない。苦労を知らない。だから連中はダメなんだ。苦労を知らない人間ほど、始末の悪いものはない。

・世の中というのは、糾(あざな)える縄のごとし、ですね。

【禍福は糾える縄の如し】不幸と幸福は、より合わせた縄のように交互にめぐってくる。

Sadness and gladness succeed each other.
(悲しみと喜びは交互にやってくる )

・これからが本当の戦いだ。オレも、お前も。どんなときにも、勝利を、信じろ!


(池井戸潤『陸王』)

2016/08/21

サウルの息子

強烈過ぎる。アウシュビッツ収容所の凄まじい体験映像映画!

ネットレンタルで映画『サウルの息子』を観た。アウシュビッツでゾンダーコマンドの主人公が、息子を埋葬するためラビ(ユダヤ教聖職者)を探す。満足度★★★★☆。

サウルの息子(SON OF SAUL)

38歳の新鋭、ハンガリーのネメシュ・ラースロー監督、長編初作品。第68回 カンヌ国際映画祭(2015年、、グランプリ)、第73回 ゴールデングローブ賞(2016年、外国語映画賞) 、第88回 アカデミー賞(2016年、外国語映画賞)で受賞!

撮影方法が特殊。「被写界深度の浅い映像」と「肖像画のような狭い視野」にすることで、極限状態におかれたゾンダーコマンドの「心の目を閉じた心理状態」を表現。 観客の視点をコントロール。

アウシュビッツの 「ゾンダーコマンド」(同胞であるユダヤ人の死体処理に従事する特殊部隊)という、「あまりにも非人間性な環境(死の工場)」で、「人間性ある動き」が・・。証拠隠滅に抗い、極限状態の詳細を何としてでも、写真や手紙などで、事実を後世に伝えようとしたゾンダーコマンドの密かな努力(後に発見された)が映画の題材になっているらしい。

「これは2016年のNo.1映画だ!アカデミー賞確実だろう」という町山智治さんの 『サウルの息子』 に対する解説を聞いた後、映画を観たので、ストーリーの理解はできた。その分、先入観なく観た場合の「何だこれは!」という衝撃は薄らいでしまったかも。音響面も含めて、これこそ「映画館で観るべき映画」だったかもしれない。

町山智浩さん解説『サウルの息子』(たまむすび)


予告編『サウルの息子』


2016/08/15

シン・ゴジラ

話題沸騰の庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』を観てきた。これは凄い!皆が絶賛するわけだ。満足度★★★★★。

タイトルの「シン」は「新」「真」「神」の意味があるらしい。初代ゴジラを超えるゴジラ映画。庵野作品だけに「エヴァンゲリヲン」「巨神兵」を彷彿させるシーンがたくさんあり。エヴァファンにはたまらん。司令部はまさにネルフ本部!

ゴジラ(GODZILLA)は「大震災、津波、原発事故」を暗示。「巨大不明生物」という、官僚が「想定外」を連発する未曾有の大災害が発生したとき、国の存亡を回避するために、どう対処するのか。ネタバレすると確かに面白くなくなりそうので自粛・・。観てのお楽しみということで。防災、政治、社会システムに関しても、「現実の想定される事」として、「ではどうすべきか」と色々と考えさせられる映画だった。

大災害になり、大都市のインフラが機能停止したとき、「自給自足できる地方」での生活が、案外強いのではないかと思ったりもした。現時点では、まだこのような社会システムを確立できていないが、「太陽光発電、家庭用蓄電池、電気自動車」でエネルギーを自給自足、あとは食料を自給自足できれば、達成できそう。

ゴジラ出現で破壊されなくても、「地産地消」という形態で、持続可能な「強い地方」を創造できるのはないかとも思った。このストーリーでいくと、電池屋の仕事は忙しくなりそうだ。

2016年夏、シン・ゴジラによって、東京都は壊滅的に破壊されたが、東京オリンピックまでに復興は間に合うのかな?( ^ω^ )

シン・ゴジラ(Shin-GODZILLA)

2016/07/10

さくら住宅

社員間の競争は、会社にとってマイナス。

カンブリア宮殿『さくら住宅』を観た。「どのようにして新たな仕事を獲得するか」という、ビジネスで一番重要かつ難しい課題へのヒントが満載。

その課題に対する答えとして、さくら住宅では、カンブリア宮殿では「黄金ストーリー」だが、世の中の多くとは正反対の法則が、社長の意志の元、色々と実践されている。 新規注文ではなく、「顧客との信頼」を優先。 地域密着サービス。 社員間での競争は禁止、などなど。

中長期的に結果を出し続けている会社の裏側(根底)には、こういった「人間性溢れるストーリー」が存在するんだな、と再認識。左脳(論理)一辺倒ではなく、左脳思考(理屈)と右脳思考(人間性、EQ、モチベーション・・)がバランスのとれた状態。簡単に言うと、ここで働きたくなる会社。そんな会社を目指したい。

■さくら住宅


【語録】

・住民を幸せにする「リホーム革命」。困った時の頼れる「住医」。小さな工事をきちんとやってくれると、次もお願いしたい心理になる。大きな工事も頼んでみようかなと。

・さくら住宅は「小さな工事」を快く引き受けることで、「大規模リフォーム」の受注につなげている。

・「お客様との距離」をどれどけ近くするか。手間を惜しんだらそれで終わりだと。

・営業トークはしない。「ここをやった方がいい」とか、こちらからは売り込まない。それは押し売りと同じだから。必要だったら、お客がかならず言う。

・地域密着サービス。18年連続黒字。基本的に「値引き」はしない。新規注文ではなく、「顧客との信頼」を優先する。

・ノルマ無し。社員間での競争は禁止。競争をやり始めると、社員間でお互いの心が離れていく。だから、競争はさせてはいけない。「いい月もあれば、悪い月もある」と認めてやらないとダメ。

(二宮生憲/さくら住宅社長/カンブリア宮殿)

2016/06/25

大和麺学校

大和的拉麺道。「プロ意識」さえ持ってやれば、短期間でプロとして通用するレベルに達することは十分可能!

テレビ東京の番組『ガイアの夜明け』を観た。今回のテーマは「新たなプロの育て方」。 登場する会社は、大和麺学校。そして、経営者は、大和製作所の社長でもある藤井薫さん。『トップになりたきゃ、競争するな』という藤井薫さんの著作を読んでいたので、実際に映像で観る今回の番組も、イメージを掴みやすく面白かった。

「わずか1週間でラーメン屋を開店できる店長を育てる」という麺学校のコンセプト。これも、藤井薫さんという「ラーメン作製」を知り尽くした人が企画する学校だから可能なストーリー。他では到底真似できない。今起こっている「世界的なラーメンブーム」の裏には、大和麺学校や大和製作所(あらゆる麺が一台で作製可能)のような立役者がいるだな。

「ラーメン」を他の項目に置き換えた時、例えば「自分が仕事で属するテーマ」に置き換えた時、今回のストーリーを応用した「仕組みづくり」ができるのではないか、と思った。世の中に役立つ、今までにない新たな「仕組み作り」。自社の強みをベースにしなしながら「新たなエコシステム(生態系)」を作る側にまわる。そんな取り組みができないかも、徐々に考えたい。

■大和麺学校
■大和製作所



【語録】

・大和製作所。社長の藤井薫さん(68歳)。川崎重工で航空機などを設計。地元香川で起業。小型製麺機で国内シェア1位。

・実際にやってみたら、「麺」が本当に面白かった。「どうすれば美味しい麺ができるか」ということに、考えが至って、深く掘り下げたら、知らない間に天職になってしまった。2000年に「大和麺学校」をスタート。3000人以上が卒業。

・1週間でラーメン店を開業できる。生徒が殺到。異色の学校。店を出すためのすべてが学べる。定員8人、授業料38万円、7日間の短期集中。「すぐにプロの味が出せる」と評判を呼び、受講するのに3ヶ月待ちという盛況ぶり。

・もともと製麺機のメーカー。小型製麺機「若大将」。長さもグラム数も調整できる。日本中のあらゆるラーメンの麺が1台でできる。

・調味料の分量など細かく「数値化」。その数値どおりに作れば、誰でもプロの味が確実に出せることを最大の売りにしている。

・きちんと数字で「何分間」とか「何度」にすることで、「常に一定の状態をつくっていこう」ということ。誰でもできる。

・デジタルクッキング。ここで完成したレシピを生徒が持って帰るので、自分の故郷で全く同じものができる。麺、スープ、経営のマネジメントも、1週間で学べる。1週間でスタート地点には立てる。後は、「本人の努力」と「プロ意識」で、繁盛するかどうかが決まる。

・下積みに長い時間をかけず、プロのスタート地点に立てる。この新しい育成方法で海外にも市場を広げる。海外からの生徒が非常に多い。今後、海外へ展開していこうと思う。

・「プロ意識」さえ持ってやれば、短期間でプロとして通用するレベルに達することは十分可能。国内海外関係なく、面白い店がどんどん出ていく。

(藤井薫/大和製作所社長/ガイアの夜明け)

デジタルクッキング

小型製麺機「若大将」

2016/05/22

ファクトリエ

「Made in Jpan」で世界に誇れるブランドを!

「やらないリスク」より「やるリスク」をとれ!

カンブリア宮殿『ファクトリエ』を観た。今回も「とても筋の良いストーリー戦略」だった。「志」「ブランド」「こだわり」「職人」「作り手のストーリー」「作りての価格決定権」「リスクをとる」など、弱者の競争戦略の「あるべき姿」の要素が網羅され、しかもバラバラでなく、つながっている。「一貫性」というやつだ。そして、なにより大事なのは、このシステム(仕組み)を作り上げた山田敏夫氏の手腕。こういう「新たにビジネスモデルを立ち上げる人」が多く出現できるかどうか(=環境づくり)が、日本社会の最優先課題だろう。「出る杭は打たれる」の状態では先行き暗い。

■ファクトリエ


【語録】

熱狂ファン続出で急成長。異色ブランドの秘密公開。メード・イン・ジャパンの底力、工場ブランドで世界に挑む。

創業2012年。社員5人。年商10億円に急成長。

すべてメード・イン・ジャパン。ネット通販専門のブランド。工場直販。現在34の工場と提携。その多くは欧州の高級ブランドに卸す高い技術を持っている。

ファクトリエの商品は「ストーリーを買う」感じ。ホームページには、「職人の顔や製造のこだわり」など、「工場のストーリー」が写真つきで載っている。

衣類の国内生産比率は、現在わずか3%。この危機的状況を何とかしたい、と思いファクトリエを作った。

提携工場が「やる気を出す仕組み」も考えた。商品の価格決定権を工場に渡した。販売価格に対する工場の取り分を50%に増やした。一般的なブランドは20%ほど。工場は売れる価格でいいものを作れば儲かる仕組みだ。

今までは、決められた金額で作って納品すれば終わりだったのが、世の中の人が買う事を意識し始めるので、「どういう縫い方、デザイン、シルエットがいいか」など、色々なことを話始める。それを考え出すというのは、凄く大きい話。

販売価格が決められるので、工場は技術や手間を惜しまなくなり、お客は質の高いものを、リーズナブルな価格で買える。

高級ブランドに比べたら、値段は高くないのに、品質は高い。職人のこだわりも価値あるものとして、ファクトリエはいいと思う。

メード・イン・ジャパンで日本から世界ブランドを作りたい。衣食住における日本製の価値は、日本の文化そのもの。

世界の一流ブランドを作っている工場を厳選している。品質は世界の一流ブランドに負けない。しかし、価格は工場が決めて、直販なのでリーズナブル、というのが特徴。

アパレル国内生産は危機的状況。30年前の1/10なので、ずっと右肩下がりの業界。しかし、歯止めはかけられる。世界の有名なブランドがこぞって日本で作ったりする。なので、仕組みを変えれば、技術が生かされるのを実感している。

私がやったのは、工場側が今まで培った技術を入れて、しかも工場の名前が商品に入るので、全力、全部注いで「いい物を作ろう」と。

工場がブランドを作る一番のメリットは、社内外のモチベーションだと思う。アイデアを出さなかったところが、出せば出すほど、いい物が作れる。技術力もつぎ込めるし、社員のモチベーションも上がる。好循環が生まれた。

グッチの女性社員から「日本には本物のブランドがない」と言われた。ヴィトンもグッチもエルメスも全部、「ものづくりからブランドは生まれる」という考え方。それならば俺が作ると、「職人の技術が生きるブランド」のファクトリエを立ち上げた。

アパレルの産地で、飛び込み訪問で、提携先の工場を探してきた。

「50%しか買い取らない」と決めたときに、工場が初めて、市場に対して、この値段で本当にいいのかと、主体的に考えるようになった。やらされ感ゼロ

「やるリスク」と「やらないリスク」がある。リスクはやることだけをよく言うが、「やらないリスク」は、工場が今と変わらない毎日。従業員が辞めたり、新入社員が入らないとか、色々なリスクをはらんでいる。実は「やるリスク」は計算できる。最近は「半分買い取ってくれてありがとう」と言われる。

(山田敏夫/ファクトリエ/カンブリア宮殿)


2016/05/07

アイヒマン・ショー

Show details!(細部を見せるのだ!)

京都シネマで映画『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』を観てきた。超大物ナチス戦犯裁判をテレビ放映する裏舞台。満足度★★★★★。



いやいや~凄い、凄過ぎる映画だった・・(T_T)。「Because of you.(あなたのおかげ)×3回」というセリフが一番印象に残った。

戦後のナチスを裁く内容の映画で『ハンナ・アーレント』『顔のないヒトラーたち』も衝撃大だったが、今日観た『アイヒマン・ショー』も半端無く心に刺ささる人間ドラマだった。

これら、「勇気ある個人」が立ち上がったからこそ、歴史の闇に葬られかねなかった悲惨な出来事が世の中に知れ渡り、今のドイツであったり現在につながる訳だ。


予告編『アイヒマン・ショー』




2016/04/10

白ビール(銀河高原ビール)

今宵の一杯は、銀河高原ビールの「白ビール」。銀河高原ビールの商品だから、美味しいだろうとは思っていたが、想像を絶する美味さ!こりゃイケるで!山岡士郎も栗田さんもびっくり。これまで飲んだ「白ビール(小麦のビール)」の中で一番美味しいのじゃないかな。

銀河高原ビール「白ビール」

「マスカットやグレープフルーツなどの柑橘系を想起させる爽やかな香り、ふくよかで繊細な飲み口と特殊酵母によるスパイシーさが不思議な魅力をもつ白ビール。やわらかで上品な甘さ、心地よい苦みとキレ。ビール酵母を残したまま丁寧に仕込んだヨーロピアン・ホワイトエール。一般的なホワイトビールでは、香り付けのためにオレンジ皮やコリアンダー・シナモン等の副原料を加えるのが普通だが、銀河高原ビールでは敢えて一切の副原料を使用せず、麦芽100%の醸造にこだわった。研究の結果、副原料なしでホワイトビール特有の柑橘系の風味を生み出すことに成功。マスカットやグレープフルーツを想起させる自然でソフトなアロマテイストが持ち味の銀河高原ビールオリジナル白ビールに仕上がった。ビール酵母を残したまま醸造。酵母入りビールには“にごり”があり、そこに旨みの成分が凝縮している。ビール酵母には、アミノ酸や核酸、美容と健康に役立つビタミンB群、食物繊維、各種ミネラル成分などが多く含まれている。」という商品説明。

京都市内のとある酒屋で発見。「限定醸造」らしいので、どうりで、なかなか見かけないわけだ。激ウマだったので、もう一度飲みたいが、まだ売っているかな?

白ビール(銀河高原ビール)

今宵の一杯は、銀河高原ビールの「白ビール」。銀河高原ビールの商品だから、美味しいだろうとは思っていたが、想像を絶する美味さ!こりゃイケるで!山岡士郎も栗田さんもびっくり。これまで飲んだ「白ビール(小麦のビール)」の中で一番美味しいのじゃないかな。

銀河高原ビール「白ビール」

「マスカットやグレープフルーツなどの柑橘系を想起させる爽やかな香り、ふくよかで繊細な飲み口と特殊酵母によるスパイシーさが不思議な魅力をもつ白ビール。やわらかで上品な甘さ、心地よい苦みとキレ。ビール酵母を残したまま丁寧に仕込んだヨーロピアン・ホワイトエール。一般的なホワイトビールでは、香り付けのためにオレンジ皮やコリアンダー・シナモン等の副原料を加えるのが普通だが、銀河高原ビールでは敢えて一切の副原料を使用せず、麦芽100%の醸造にこだわった。研究の結果、副原料なしでホワイトビール特有の柑橘系の風味を生み出すことに成功。マスカットやグレープフルーツを想起させる自然でソフトなアロマテイストが持ち味の銀河高原ビールオリジナル白ビールに仕上がった。ビール酵母を残したまま醸造。酵母入りビールには“にごり”があり、そこに旨みの成分が凝縮している。ビール酵母には、アミノ酸や核酸、美容と健康に役立つビタミンB群、食物繊維、各種ミネラル成分などが多く含まれている。」という商品説明。

京都市内のとある酒屋で発見。「限定醸造」らしいので、どうりで、なかなか見かけないわけだ。激ウマだったので、もう一度飲みたいが、まだ売っているかな?

2016/03/04

国際二次電池展2016

東京ビックサイトへ。「国際二次電池展」がメインで、前職関係の「太陽電池展」や他エネルギー関係の展示会へ。あとは蓄電池関係の技術セミナーを2件受講。

昨年はこの展示会に参加できなかったので、久々に会う人が多く、近況を色々と聞けた。世の中、進んでいるとこは、着実に進化しているようで。世の中のトレンド情報を、少しバージョンアップ。栄枯盛衰を知る。

PVEXPO2016(第9回国際太陽電池展)in東京ビックサイト

セミナーの「テスラ」の公演内容は、簡単に言うと、「iPhoneのような電気自動車」を作っているという話。「日本流」である「日産リーフ」の公演の後だけに、テスラのビジネスモデルがいかにも「シリコンバレー流」で、興味深かった。

テスラのミッションは「世界の持続可能な輸送手段へのシフトを加速する」こと。テスラはただの自動車メーカーではなく、「エネルギーイノベーションに力を注ぐ、テクノロジー会社であり、デザイン会社」でもある、とのこと。

車体というハードだけでなく、「ハードウエアとソフトウエアの融合」にも重点を置く。自動運転(Autopilot)や人工知能の話も。テスラの車は常にネットにつながっており、毎日、車が学習して、走れば走るほど賢くなっていくのだとか。ビッグデータの活用が半端ないな。

また、テスラは電気自動車だけでなく、「Harvest Energy(創電)」「Energy Strage(蓄電)」にも力を入れており、「PowerWall」「PowerPack」という蓄電システムを開発している。

PowerWallのモック

会場では電気自動車とともに、PowerWallのモックが展示してあった。実物は思ったよりデカいなという印象。家庭用蓄電池とは思えないデザインが素晴らしい。これも、ダサダサ従来PCに対するMacのようなものか。

蓄電池のソリューションに力を入れる理由が、「Zero Emission」(エネルギー源としてガソリンの使用を世の中からなくしたい!)のためだけでなく、「世界から貧困をなくすための解決方法」という話も、「そういう考えなのか」と身体の奥にガツンと響き、にわかに体温が急上昇するのを感じた。「ミッション」とはこういうことを言うんやね。

「未来の生活」を見せるというプロモーションビデオも、テスラの目指す方向性を理解するのにとても効果的だった。まさに「ライフスタイルの提案」そのもの。夢があるあなぁ。ドキドキ感があるなぁ。

太陽光発電⇒蓄電池⇒電気自動車。やってほしいことは、テスラが全部やってるやん!(火星移住の宇宙船は、あまり興味ないが)。イーロンマスクは着々とスティーブ・ジョブズになりそうだ。

2020年にはテスラの電気自動車を買ってる気がする。iPhone を買ったように( ^ω^ )

2016/01/24

自遊人

カンブリア宮殿の今回のゲストは、雑誌「自遊人」社長の岩佐十良さん。「雑誌編集長」「旅館経営者」の二つの顔を持つ。

どちらも目的は「ライフスタイルの提案」。旅館経営の目的は「リアルメディア」。つまり、雑誌「自遊人」の提案内容を、実際に体験する「場」を作ったのが旅館「里山十帖」。岩佐さんの「志」が素晴らしい。「食」にこだわっているところにも共感する。とても面白いビジネス・ストーリーだった。

戦後、一般人の生活の中で、「テレビ⇒インターネット」という流れで、バーチャル(仮想空間的)なメディアが急速に発達した。人間は飽きやすいので、バーチャルが増え過ぎると、今度は反対に「実体験(リアル)」がほしくなる。その流れを的確につかんでいるのが、今回の岩佐十良さんが描く「リアルメディア」のビジネスモデル。

カンブリア宮殿の内容も、「紹介されるこだわりのビジネスモデルを知る⇒実際、サービスを体験する」という面白みがある。まさにリアルメディア。例でいくと「成城石井」「セゾンファクトリー」「ユーグレナ(ミドリムシ)」「コメダ珈琲店」など。いずれも、バリュープロポジション(「顧客が望んでいて」「ライバルが提供できない」「自社が提供できる」価値)の勉強になる。

雑誌「自遊人」は読んだことがないので、こんど書店でみてみよう。いつか旅館「里山十帖」にも宿泊してみたい。




【語録】

一度は泊まってみたい予約殺到の「体験型旅館」。新たな価値を地方でつくる。最新!体験型ビジネスの全貌。雑誌編集長が手がける「感動体験」ができる旅館。

舞台は、新潟の南魚沼市。150年前の古民家をリノベーションした旅館「里山十帖」。客室12部屋。一つとして同じ部屋がない。全てでコンセプトを変えている。

「旅のプロ30人が選ぶ日本一の名旅館」の温泉部門1位に選出。1泊2食付き、1人2万6904円から。客室稼働率は約90%(旅館の全国平均は約36%)。

雑誌『自遊人』の編集長。ライフスタイル提案。16年前に創刊。累計発行部数1500万部以上。

雑誌編集。旅館経営。旅館「里山十帖」は、本と同じ意味合いの施設で、僕らにとっては「雑誌の10個分の特集の要素」が詰まっている。10個の物語を提案する施設として、「里山十帖」という名前をつけた。

雑誌の中で提案した10個のテーマ「衣料」「食事」「住まい」「農業」「環境」「芸術」「遊び」「癒し」「健康」「集い」を実際に体験できる、リアルメディア。

稲作体験。食体験。住まい体験。ライフスタイルショップ「テーマ」。宿で使用している商品を販売。

宿泊する20時間で色々なことを体験してもらいたい。キーワード「リアルメディア」。メディアとして「雑誌で読む」よりも、「体験」してもらいたい。雑誌で「美味しい」というよりも、実際食べてもらった方が話が早い。確認作業よりも、最初に感じてもらった方が、その後勉強する場合でも、深く知ってもらえるし、より色々な情報を自分で得にいくようになると思う。

雑誌を作りながら、実は「リアルメディア」を持ちたいと思っていた。

旅館の概念が昔とは変わってきた。データで見ると、日本人が旅館に泊まる平均泊数が猛烈な勢いで減っている。理由の一つは「旅館が面白くなくなった」からだと思っている。今までの日本旅館は、「全てのお客様に満足してもらわねば」と、大きな宿も小さな宿も、みんなが思っていた。私としては「なんで」と思うとこがあった。

例えば、僕らが作っている雑誌は、ある程度ターゲットを絞る。ある特定の人が「自遊人は最高」と言ってくれればそれでいい。宿も同じように、「最高」という人と、「理解できない」という人がいてもいい。そうなってくると、雑誌に個性があるように、宿にも個性が出てきて、地域にも個性が出てくる。もっと日本の観光地や旅館に「個性」が出てくれば、業界全体が面白くなると思っている。

みんなが個性を出せば、もっと日本は面白くなる。

「焼肉店特集」を作ったときに、葛藤があった。語弊があるかもしれないが、正直言うと、「売れる本」をつくるには、載っているレストランはどこでもいい。「本当に美味しいかどうか」は、一切関係がない。極端な話をすると「写真の撮り方」「価格のバランス」「キャッチコピー」だけで、正直なところ「売れる本」は作れる。究極に突き詰めて言えば、題材が何であれ、本を売ることはできた。

「本当にいいもの」だけを伝える雑誌を作りたい。自ら出版社を立ち上げる。2000年、雑誌「自遊人」を創刊。宿が持つストーリーを、写真と文章でちゃんと表現したかった。今まで重視されていた「値段が安い」「コストパフォーマンス」「情報の鮮度」などは、どうでもいい。最高発行部数16万部。

重要なテーマの一つが「食」。インターネット販売も始めた。「本当にいいもの」を体験してもらう。

「食」を重視する理由。単純に「人間の身体は水と食べ物からできている」という話の中で、「健康な人」と「不健康な人」で何が違うのかを考えたら、「食べ物は凄く重要ではないか」と考えるようになった。色々な飲食店を取材する中で、その舞台裏をみていくうちに、やはり「食」によって差が出ると感じた。

「雪国A級グルメ」を認定して紹介。「永久に守りたい味」ということ。認定基準は、米は新潟、群馬、長野の指定地域のものを100%使用、野菜は県内産のものを50%以上使用し産地も公開、調味料は無添加・天然醸造で伝統的な手法で作られたものを使用。

B 級グルメは、戦後の苦しかった時代の食文化だと思っている。街おこしには大事。一方で、その土地本来の食文化が小麦粉(B級グルメ)の陰に隠れてしまっている。その隠れてしまっている、特に「お米を中心とした食文化」を、「永久」に残したい味として、掘り起こして、一緒に考えていこう、と呼びかけている。

(岩佐十良/自遊人社長/カンブリア宮殿