2014/03/29

祐ホームクリニック

病院で死ねなくなる時代に挑む、「異色の経歴」武藤の医療革命!

今回のカンブリア宮殿のゲストは、武藤真祐さん(祐ホームクリニック理事長)。テーマは「高齢者の在宅医療」。武藤さんは、「医者」という枠だけにとらわれず、「社会問題」を解決するために、まわりの人達を巻き込みながら、組織化している。つまり「つなげ」て「ネットワーク」を構築。しかもITをフル活用して。21世紀型の仕事のやり方のお手本のようなストーリーだった。これは凄い!さすがカンブリア宮殿で紹介されるだけのことはある。熱意も半端ない。

「高齢化社会の医療問題」は、身近ですぐに実感できる大問題なので、「危機意識」を持つ人が今後急増するだろう。皆が問題意識を持てば、社会は変わる。エネルギー問題でも、「フクシマ原発事故」の前と後では、危機意識や問題意識が雲泥の差だ。後は、武藤さんのような「ネットワークを作れる」人達が、たくさん出現して活躍し始めると、社会は良い方向へ変わり始めるはず。

これまでの常識や枠組にとらわれず、「問題解決」のために、各人の仕事や社会活動が柔軟にできると、暮らし易い良い社会になりそうだ。会社という組織の内部も同様。エネルギー分野はもちろん、あらゆる分野で、そんな事ができる日本を目指したい。


【語録】

高齢者の 2030年問題。在宅医療。医師30人。看護師、アシスタントは16人。まさに「動く病院」。

ドラッカー365の金言』を朝礼で毎日読む。在宅医療の現場に「プロフェッショナリズム」と「マネジメント」を持ち込んでいきたい。自分が何かを言って動く組織にしてしまうと、どんどん新しいチャレンジや組織全体を大きくしていくことは難しいと思った。誰もがマネジメントの概念を分かって、その場で問題解決し、行動できる組織にしていきたい。

一人一人が現場を改善。「時間は患者のもの」。事務作業は徹底的に効率化。テープに録音して、カルテの文字起こししてもらう。「情報は全て共有」。

医療に「IT」と「マネジメント」を持ち込み、独自の医療を作り上げた。医者からマッキンゼーに転職して「企業経営」を学ぶ。

これまでは、地域医療に取り組む医師は、非常に思いが強く「1人で地域を支えていくんだ」と。ある程度きちんと組織を作って、質も保ちながら、その医師に何かがあっても、継続していく「仕組み」をどうやって作っていくかを考えた。

孤立化を防ぐ。昔のような「村社会」で実現していたことを、今の社会で求めても、それはもうほとんど不可能なので、ITも含めたり、色々な人達が情報を共有しながら、それぞれが情報を取ってきて、必要なサービスをつなげる「仕組み」を作らないといけない。

 困っている人に対して、自分の人生を使いたいと思うようになってきた。医師になってそれをある意味実現したが、だんだん医師をやっていると「もっと大きな問題があるんじゃないか」と。

ただ医師として何かをやるということの限界もだんだん分かってきた。それでえるならば、もう1度社会を広い目でも直したいと。何が必要かと思ったときに「マネジメント」や「問題解決能力」だろうと。それをどうやったら身につけられるだろうと考え、行った先がマッキンゼーだった。

「自宅での看取り」を1番大切にしている。

ただつなげればいいわけではなくて、それぞれの関わる人達に「どういったことをお願いしていくか」。そして我々が「何を価値として提供できるのか」ということをきちんと整理した上で、そのネットワークに入ってもらう、かなり地道な作業。

ただ1番最初に「こういうものをネットワークとして作って、何を目標にするのか」を考えておかないと、単に積み上げていくだけでは、「あるべき姿」にはならない。まずは「概念」を作って、その次に地道な作業を行っていく。

(武藤真祐/祐ホームクリニック理事長/カンブリア宮殿

2014/03/28

岩崎弥太郎と三菱四代

河合敦『岩崎弥太郎と三菱四代』を読んだ。幕末からはじまり、三菱財閥を築いた岩崎家四代の経営者の話。満足度★★★★★。

三菱財閥の歴史。ほとんど知らなかった話で、とても面白かった。岩崎弥太郎岩崎弥之助岩崎久弥岩崎小弥太、という創始者から四人の三菱を率いたトップのストーリー。それぞれのトップが個性があり、その時代にあった経営手腕が発揮されたので成功して三菱財閥が発展した。「国との対立」「海運業を手放す」など、ハイリスクをともなう経営者の英断が凄い。また「人を育てる」重要性が随所に出てくる。ビジネス社会の荒波を乗り切る方法が随所に示され、とても勉強になった。

昨年読んで感銘を受けた百田尚樹『海賊とよばれた男』の主人公「出光興産創業者の出光佐三」と、今回の岩崎家四代経営者の話で共通点が多くある。「海運業」や「国や大企業との対立」「海外ビジネス」「人材育成」など。一人の創業者からはじまり、大企業に成長するには、経営者トップの「哲学」をベースにした「世のため、人のため」という社会的使命があって、その結果として会社が発展・永続するようだ。先に、「利益&会社成長」を掲げて成長した訳ではない。また経営者の「熱意」や「人を大切にする姿勢」が素晴らしい!

テレビ番組「カンブリア宮殿」で出演する経営者の人達の語るストーリーも、岩崎弥太郎や出光佐三の哲学と重なる部分が多いように思う。これらのビジネスの話は「共感」できることが多いので、とても面白い。一方、「金儲け」だけの話であれば、「バブル期」の話のように、一時期的で面白くないし、共感はできない。歴史的にみても、ビシネスはもちろん人間社会では「共感」が「人を動かす」のだなぁ、ということを強く意識した。



【語録】(読書ノート)

・三菱の成功の秘訣は「巧みな経営術」にあった。

・凡庸な人間でも、「必ず一つは光る才能を持っている」という。それに気付いたとき、人は脱皮して飛翔するものだ。しかし、残念ながら、自分自身で己の才能に気づくことは稀である。たいていは、親や教師から指摘を受けて、はじめて己の能力を認知する。

・吉田松陰は、そうした才能を見出す天才だった。松陰は、弟子をよく観察し、その「長所」を見極めた上で、はっきり本人に告知してやったという。

・歴史人物の面白い共通点。偉人の多くが、少年期を過ぎてからも、大風呂敷を広げ続けている。平然と周囲に「大言壮語」を吐いている。

・偉人は、大人になってからも夢や大志を捨てることがない。世の中の現実を考慮しない。どう転んでもそんな大きな夢が実現するはずがない。しかしながら、天は不思議である。そういう人物に味方する。善人や悪人の別なく、天は「大志を抱き続ける人物」を引き上げる傾向が明瞭に見てとれる。

・「願いは必ずかなう」と信じて、ただひたすらに突き進めば、不思議と夢は現実になる。一切の疑念を挟んではいけない。いくら表面的に夢は実現するんだと頑張っても、心の底でダメかもしれないと疑ってかかれば、どうやら天は味方してくれないらしい。そういう意味では、人生は「馬鹿の勝ち」である。

・諸芸に秀でようとして、枝葉末節の技術に時間をかけるのは、無能者がやることさ。(岩崎弥太郎)

・海運王。

・「学問に対する熱意」を失わなかったからこそ、のちに弥太郎は大成するのである。

・弥太郎は万が一を考えて、いつも「第四の策」まで想定して行動していた。

・会社は組織である。「社員が有能」でなければ、いくらトップが奮闘さても、絶対に会社は伸びていかないだろう。「いかにして良い人材を集まるか、また育てていくか」、それが会社の成長・存続にとって重要なのだ。

・三菱のシンボルマークであるスリーダイヤモンドは、「人」の字を形どっていると言われる。三菱がいかに「人」というものを大切にしていたかがわかる。弥太郎は、見事な社員教育と人材登用によって、「人」の能力を存分に引き出して、会社を発展に導いていったかがわかる。

・子供達を甘やかさず、厳しく鍛え上げる。「我慢する心」、すなわち「耐性」というものを幼少時代に叩き込まなければ、人は世の中の荒波を渡り切ることはできない。本当に子供のことを思うのなら、親たるものは、「子供に対して厳格」であらなければ、ならない。

(河合敦『岩崎弥太郎と三菱四代』)

2014/03/21

きっと、うまくいく

自分の人生を生きろ!

ネットレンタル映画で『きっと、うまくいく』を観た。インドのコメディ青春映画。工科大学の3バカが大学で繰り広げる珍騒動の過去と、10年後の現在が交差する。インド歴代興収No.1。満足度★★★★★。大満足!!社会に出る前の悩める学生達に観せてあげたい。


原題『3 Idiots』(3バカ)。キーワードは『Aal Izz Well』(アール・イーズ・ウェル、うまーくいく)。英語では「All is well」。もう一つは「エンジニア」。インドでは「学歴競争」で、追い詰められたエリート学生の自殺が社会問題になっている。そこに「学ぶ事とは何なのか?」と一石を投じる。コメディ映画だけど、社会風刺な内容。

「笑い」あり「涙」あり、インド映画だけに、もちろん「歌と踊り」あり!⇒『Aal Izz Well』『Zoobi Doobi』。そして「恋愛」あり。3時間で盛りだくさん。「まさか」のストーリー展開で、爽快な結末も良かった。こりゃリメイクも決まる訳だ。いい映画を観れて良かった。


町山智浩さんの解説(ラジオ)も『きっと、うまくいく』を理解する上でとても面白かった。確かに、ヒロインはアンジェラ・アキに激似。



2014/03/15

フォンターナ広場

イタリアはこの日、青春と決別した。

京都シネマで『フォンターナ広場、イタリアの陰謀』を観た。1969年12月12日の銀行爆破事件(フォンターナ広場爆破事件)の謎をめぐるイタリアの話。凄い内容の映画だった。満足度★★★★☆。


冷戦下イタリアでの「歴史的事件」を扱った映画。今だに事件の真相は謎のままだという。国や組織がからんだ対立に個人が巻き込まれる。歴史に翻弄される人達。激動の時代の世の中はこんな事がいっぱいあったのだろう。現在でも、日本では少なくなったが、世界では「政治」もしくは「正義」という名のもとに、多くの個人が人生を翻弄され、多くは「真相は謎」のまま、歴史の闇に葬られてしまう。

その理不尽な出来事の中でも、「毅然とした態度をとる人達」が今回の映画の中では多く登場した。「自分の立ち位置、意見をハッキリ持つ」登場人物達。イタリア社会は、冷戦時代だからそうだったのか、今もそうなのか。「意見をハッキリ述べる習慣の無い」日本社会から観ると、毅然な態度をとる映画中の人達は光って見えた。

事件をめぐる捜査が多く出てきたが、現在これだけITが発達すれば、「捜査方法」も激変していそうな気がした。自分事としては個人の力ではどうにもならない「ドロドロした争い」に巻き込まれない平穏な人生が送れることを願う。

予告編『フォンターナ広場』

2014/03/14

中国環境汚染問題

日経ビジネス「中国汚染パニック」の記事を読む。表紙を見た時から興味をひかれた。

「中国の環境汚染は深刻らしい」とは薄々思っていたが、記事には想像以上に深刻な状況が記載されていた。中国ヤバし。近隣諸国である日本もヤバし!他人事ではない。

「中国の環境対策」という要因で、太陽光発電や電気自動車が、現在予測されているよりも早いスピードで普及するかもね。

中国の経済発展にともう環境汚染や、フクシマの原発事故による放射能汚染のように、世界が、地球がもうどうしようもないぐらい汚染され、ナウシカの「腐海」のような状態になる前に、人類の叡智を集結して、環境問題を解決したい。ギリギリのところ、今ならまだ間に合うはずだ。We can do it!


【記事より】

・成長至上主義のツケ。汚染リレー。汚染物質の排出が限界を超えたため、空気の流れや気象条件のわずかな差で大気汚染が測定限界値を振り切るようになった。

・共通するのは「経済成長のおかげで汚染がどんどんひどくなる」という危機意識だ。

・技術だけでなく、ニーズの的確な把握や人脈などを総合力が問われる。

・日本企業は中国で調達できる部品をわざわざ日本から持ってこようとする。素材のスペックを落とすことも認めなければ、設計変更にも応じてくれない。これでは中国で売れない。

・「良い技術なら黙っていても売れる」というわけではなく、独自のビジネスモデルやパートナーとの関係構築といった、総合的な力が試されている。

(日経ビジネス「中国汚染パニック」)

2014/03/09

ばんどう太郎

「親孝行・人間大好き!」

カンブリア宮殿の今回のゲストは、ファミレス「ばんどう太郎」の青谷洋治社長。効率重視で規模や利益ばかりを追求するのではなく、「客や従業員の幸せを追求する」ことで、強い会社を作る。これから主流になるであろう、経営だ。外食産業は、やはり「従業員のモチベーション」が競争力の重要ポイント。

これもやはりダニエル・ピンク『モチベーション3.0』に近いと思う。日本だけでなく、世界でも同じようになるはず。太陽電池業界でもそうなってほしいなあ。従業員の「モチベーション・マネジメント」に重点を置けば、会社は変る。脱20世紀工業社会の考え方!といきたい。

ばんどう太郎(カンブリア宮殿)

※坂東太郎は利根川の別名。

【語録】

奇跡のファミレス、常識破りの独自戦略。看板メニュー「味噌煮込みうどん」。和食ファミレスチェーン。 客単価1500円(業界平均1000円)。売上76億円。

家族連れが絶賛する秘密①「3世代が満足するサービス」。女将がもてなす上質のサービス。3世代が過ごし、熱烈ファンになってゆく。秘密②「こだわり料理も見える化」。店内調理。オープンキッチン。ばんどう太郎の厨房スタッフは大手ファミレスの約2倍。秘密③「家族イベントも喜んで!」。

手間暇を怠らないことが、大手とは違うやり方。大手に逆行している。回転率を考えたら考えられない店づくりだと思う。現場から、「どうやればお客に喜んでもらえるのか」と言う声がたくさん上がってくる。現場の人たちが、お客にどう喜んでもらえるかを、毎日毎日、一生懸命考えている。

おいしくていい料理を提供して良いサービスをしようとしたら、従業員がどうしても多くなる。いい料理を作るためには、手間ひまを惜しまないで作るしかない。そうすると、原価がおのずとしてあがる。いい料理を作るという事は、多少価格も上がるということを、理解して、お客が来てくれていると思う。他社との競争ではなく、お客との競争をさせてもらっている。お客が喜べば、「非効率」でも構わない。

母の墓の前で「働いている人が幸せじゃないから、会社を辞めていくんだよ」と話す声が聞こえた。そこから目指したのは、売上や利益ではなく「幸せ日本一」を目指すようになる。幸せとは何だろう?「この会社で働いて幸せだと思う人を何人作れるかが、会社の大きさだ」と考えた。「会社を大きくする」のではなく、「幸せな人を増やす」。これが坂東太郎の経営。

「一人ひとりの幸せを追求する」ということは、「みんなの意見を、どれだけ吸い上げられるか」だと気付いた。社訓「親孝行」。自分の幸せより、「周りを喜ばせることで、幸せを感じる人」が坂東太郎には多い。

(青谷洋治/坂東太郎社長/カンブリア宮殿)

2014/03/01

リー・クアンユー、世界を語る

電子書籍で、グラハム・アリソン著 『リー・クアンユー、世界を語る』を読む。シンガポール建国の父が、米中印、イスラム、民主主義などの未来について語る。満足度★★★★☆。

ビジネス書やテレビ番組「カンブリア宮殿」を多く観て、「抜きん出たリーダー」がいると、その企業が大幅に伸びることが最近よくわかった。「リーダーしだい」とさえ言える。国家であっても同じだろう。その実例が、シンガポールの指導者リー・クアンユー。大前研一の話の中で、よくこのリー・クアンユーが登場していた。

仮に、仮に、日本でそのようなリーダーが現れたら、潜在能力の高い国力のある日本は、シンガポールのように伸びるだろう。「福祉国家、環境国家、技術国家・・」として「現代の黄金の国ジパング」と言われるかもしれない。しかし、そのような傑出した指導者を「生み出させない土壌」が日本社会に、強固に形成されているという気もする。

「優れた人材」はいるのかもしれないが、よほどの事(敗戦のような)がないかぎり、そのような人材は、リーダーに選出されないシステム。「安定を望む人達」にとって、「変革を目指す人」は、例え優秀な人であったとしても、「安定を脅かす脅威」として排除されてしまうのだろう。意識的にも無意識的にも。そして、これまた企業でも同じ事が言える。

グラハム・アリソン著 『リー・クアンユー、世界を語る

【語録】

リー・クアンユーは「シンガポール建国の父」として、腐敗していた貧しい都市国家を現代国家へと変貌させた。「変革」というものを熟知している。各国の指導者は、リーの洞察力や独創性からヒントを得てきた。「舵取りするヒント」を「リーの戦略的思考」に見いだしている。「分析が深く、優れている」がために、「会って教えを請うべき人物」と見なされた。現代の指導者の中で、大きな影響力の持ち主であるとともに、「独自の戦略的思考を編み出した思想家」でもある。

・「他に抜きんでる」ことで勝ち組になろうと考える。優れた知性や規律、創造力が、資源の代わりになる、と考えた。

・中国には「世界で最強の国家になろう」という意図がある。他の新興諸国と違い、中国は中国として存在し、「欧米の名誉会員」としてではなく、「中国として受け入れられる」ことを望んでいる。

・シンガポールは「儒教の教え」は中国と共有。英語を第一言語にし、中国語を第二言語として確立する取り組みをしてきた。理由は、「世界言語」というだけでなく、「英語の思考法」によって、新しい発見や発明につながる効用を考慮し、世界に向けて門戸を開放するためだ。狭い都市国家でそれができたのは「強いリーダーシップを発揮」したからだ。中国の言語障壁は深刻。