2014/08/31

浜中町農協

「私がやってきた大抵のことは反対されなかったことはない。」

今回観たカンブリア宮殿のゲストは、北海道浜中町農協組合長の石橋榮紀さん。農協といういかにも堅そうなイメージの組織にも、変革を行っている凄いリーダーがいるんだ、といつもにも増して興味深い内容だった。変革者は、「異端児、変わり者」と呼ばれるのは、世の常。石橋さんも、まさにそのままのストーリー。そして、「先見の明」が凄い。分析機器を導入して「データの見える化」⇒牛乳の「高品質化(差別化)」、酪農者の「働き手の環境づくり」に、スーパー経営、土木業者の仕事などの「街の生態系づくり(エコシステム構築)」と、勉強になる内容がぎっしり。

「ハーゲンダッツに採用されている牛乳!」という宣伝文句も、記憶に残りやすく、素晴らしい。自社の製品を売るときは、こういった顧客の印象に残りやすい「特別な宣伝文句」を考える必要があるな。番組を観始めるとき、今回のンブリア宮殿のテーマは「ハーゲンダッツ」と勘違いしていた・・。人間の認識はいかに適当か。「ハーゲンダッツ」というネームバリューが高いブランドを利用して、「浜中町農協の4.0牛乳」の高品質イメージのブランドを世の中に拡散させる。お見事!


【石橋さん語録】

・数々の改革を成し遂げた農協の異端児。酪農で飯を食うためには、酪農に必要なことは何でもやろうと。他がどうであれ、うちが必要だと思ったことはどんどんやる。

・農協は組合員にサービスするところ。全てがそう。組合員の経営と生活を守るために、それぞれが役割を与えられて、仕事をする。組合員のサポートをする役割を果たす。

・「いい牛乳」というのを「見える化」にしようとデータを示して「これはいい牛乳」としたい。そのためには酪農の生産要素を全部「データ化」していこうと。合わせて、酪農家の経営をサポートして、コストを下げていこうと。「データを見せる」ことによって、牧場にまく肥料も吟味ができる。肥料も無駄を減らしていくことで酪農家の所得が増える。そのために作ったのが、「酪農技術センター」だった。

・私がやってきた大抵のことは反対されなかったことはない。

・幸せ酪農。酪農ヘルパー制度。酪農農家が休みを取るための制度。

・土木建設業者にも、生き残って仕事をしてもらえるような「環境づくり」をしていくのも、農協の仕事。

・地域の生活を守って「生きる、働く、暮らす」ことができればいい。躊躇していても何も生まれない。とにかく前に進もうと。無駄な不安を持つよりも、根拠がなくても、自信を持ってやろうと。

・農協は「補助金漬け体質」になってしまっている。補助金を何が何でももらってやろうと、陳情行政をやる。そうじゃなくて、私が最近言っているのは、「自主・自立でいこう」と。どうせ国だって、北海道だって、金がないんだから。「当てにしないで、自分達でやっていこう」と。「アイツは変わり者だから仕方がないな」というのが周りの評価。

・農協の上部組織からどう言われようと、「うちの組合員に飯を食ってもらわなきゃいけないから、あんた達の言うことは聞けない」と話をする。それは、その農協が「組合員のために仕事をしているかしていないか」だけの差。変化はある。

・上部組織は「農協のために仕事をする」ということを忘れてしまった。組織は大きくなれば、「自分の組織を守る」ようになる。それに従わない農協も増えつつあるのも事実。

・農場を新規就農者に提供。必要だからやるだけの話。今、新規就農者を入れたくても、人材が見つからないのが全北海道の悩み。だから、うちのようなやり方をやろうという動きが、ようやく生まれてきた。

・自分の目標、夢をしっかり3年間の研修中に作れと。「俺はこういう酪農経営をやりたい」という目標を作って、新しい牧場をつくる時に、「こんな酪農がしたいから、こうしてください」と注文をつけろと話している。「夢を持て。自分の夢をきちんと形にして持て」と。

【デスク上のメモ】

人がどう思うかではなく、自分がどう思うかを大切に。

効率を優先させない。

何が大切かを見極める。

摩擦や揉め事を恐れていては、何も前に進まない。

地域再生は「相互扶助の精神を再興」することから。

(石橋榮紀/浜中町農協組合長/カンブリア宮殿)

石橋さんの卓上メモ

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