2010/09/26

悪人

「大切な人がおらん人間が多すぎる」

京極シネラリーベで映画『悪人』を観た。妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林と実力者俳優がずらり。九州を舞台にした殺人事件、愛の逃避行。本当の「悪人」は誰か。満足度★★★★★。

原作は吉田修一。監督は『フラガール』の李相日。深津絵里はこの作品で、モントリオール世界映画祭の最優秀女優賞を受賞。

 映画『悪人

「ストーリー」「俳優」「演出」ともにかなり高いレベルの作品だった。『フラガール』の時は、わかりやすい感動だったが、今回は「田舎社会の閉塞」「現代社会の気薄さ」「マスコミの過剰な犯罪報道」などの現代社会が抱える問題に焦点を当てたもので、テーマとしては重い。しかし、「細部まで作り込まれた邦画の面白さ」を味わえた。「愛の逃避行⇒迫る警察達」という王道場面では、『レオン』や『バベル』の雰囲気を連想した。

バスの運転手の一言が一番、グッときた。そして、中盤以降は、深津絵里、妻夫木聡の演技の良さに磨きがかかる。「深津絵里の方言が自然で、いいなぁ」と思った。深津絵里は大分出身なので、佐賀弁は近いものがあるのかな。深津絵里で一番好きなのはコメディー映画『ザ・マジックアワー』。これで深津絵里の演技にはまった。もちろん『踊る大捜査線シリーズ』の「すみれさん」もいいけど。

樹木希林のオカンというかオバン役も印象に残った。最近注目している満島ひかりは、今回は、嫌われ役の被害者という難しい役割。相変わらず表情がとても豊か。次の作品も楽しみだ。

本テーマの「本当の悪人は誰か」について。今回の主要登場人物は、皆「悪人」であり、「被害者」となる。それを一面だけしか見ないまわりの人間や、報道するマスコミの問題な姿勢に焦点があてられている。現実世界でも、身近な所で、起こっていることだ。

「怒っているなぁ」と、登場人物たちの「怒り」について観察、考えながら映画を観た。この視点で映画を観ると、「感情」に関する起伏がよくわかり、面白かった。

結論:映画『悪人』はクオリティー(作品の質)が高い。人間は多元性。時として、悪人にも被害者にもなリ得る。

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