2013/07/27

七つの会議

客を大事にせん商売は滅びる。

池井戸潤『七つの会議』を読んだ。7つのストーリーがつながる。製造企業内の不正やら疑惑やらで駆け引きされる人間模様・・。昔ならがの、かつ今だによくありありそうな日本企業の姿を書いた小説。満足度★★★★★。一気読みしてしまう面白さ!

池井戸潤『七つの会議

日本の多くの企業では「ノルマ、ノルマ」とだいたいこんな感じで"非人間的にモーレツに働く"のが仕事、というふうに定義されちゃっているんだろうなぁ。「過労死」という日本発のビジネス用語を生んだ社会背景。まわりをみてもそんな感じ。しかし、R&Dの世界では、それで何とかなった時代は終焉したという実感あり。2010~2020年の10年間はちょうど「移行期」にあるんではなかろうか。「モーレツ社員」(ある意味思考停止)から「スマート社員」(Think Differentができる社員)の時代へ。

「横並び意識で、モーレツに働いて(数をこなして)、結果を出そう」ということではなく、「差別化、顧客とのWin-Winの関係をどうすればできるか」を"モーレツに考え"て、フットワーク軽く行動して、フィードバックする。一見、猛烈(モーレツ)というとこは同じように気がするが、中身は違う。「答えがあった時代」から「答えの無い時代」になったのが要因。時代が変化したら、仕事のやり方も変化するはず。常に「変化」を認識して、"人間性"を考慮しながら「モーレツに考える人・組織」でありたい。

【語録】

仕事っちゅうのは「金儲け」じゃない。「人の助け」になることじゃ。人が喜ぶ顔見るのは楽しいもんじゃけ。そうすりゃ、金は後からついてくる。客を大事にせん商売は滅びる。

池井戸潤『七つの会議

2013/07/23

小田原

出張で小田原に宿泊。翌日、新幹線に乗る前に、駅からすぐ近くにある小田原城の天守閣まで行ってきた。城の広場には、オリの中に猿がおり、日本人サラリーマンを連想した。( ̄▽ ̄)

小田原は、箱根への起点になっている場所であることを、はじめて知った。城やら街から「小田原」「箱根」という歴史的なブランドの雰囲気をプンプン感じた。

夕食は、国登録有形文化財「だるま料理店」で食べた「地鯵寿司」は、名物だけあって、とても満足の食べ応え!相模湾の海産物は豊富なんだろうなあ。夜、海まで散歩で行ったが、あまりの暗さにヒビって、波の音を聞いて、すぐ街へ引き返した。

今回は、新幹線「ひかり」。ビジネスマン溢れる「のぞみ」とは違い、「ひかり」は外国人観光客がたくさん。和やかムードで、車内雰囲気も違う。京都駅でソウルフードを買い、車内で腹ごしらえ。魚沼産の米に、焼き鮭と梅干し。米が美味しいと、おにぎりも格別の味!( ^ω^ )/ 

「魚沼産こしひかり鮭弁当」の外観。パッケージも食欲をそそるデザイン。

おにぎりと鮭、梅干し。日本人が「死ぬ前に食べたいメニュー」の筆頭でなかろうか。

小田原駅の巨大提灯。小田原は提灯が名物?

箱根の温泉へいつか行ってみたい。富士山も。

小田原駅から小田原城までは近い。徒歩10分ほど。

夕食は、「だるま料理店」で。小田原城のすぐ近く。

松、けやき、ひのき等を用いた「唐破風入り母屋造り」の建物が国登録有形文化財に指定されている。店名は創業者の達麻仁三郎が、名字の達麻(たつま)を「だるま大使」の縁起にちなみ命名。

レトロな店内の雰囲気

国登録有形文化財の登録書

店の名物料理「地鯵寿司

現在の小田原漁港の顔となっているのが地魚のアジ。その日に、いいアジが手に入らないと、看板メニューの地鯵寿司」は出さないのだそうだ。店のモットーは「庶民に愛される街の食堂」。

だるま料理店」の歴史。ブリの大漁で得た資金で再建、というのが面白い。

小田原の夜の商店街を散歩。海はすぐ近くだが、真っ暗だった。

翌朝、新幹線に乗る前に、小田原城へ。

小田原城の門

小田原城の天守閣

小田原城絵図(弘化図)。弘化2年(1845年)の絵図。幕末の天守閣の姿が描かれている。城に目があるように見えるな・・。

小田原城の説明板(日本語)

小田原城と言えば、北条氏であり、豊臣秀吉の「小田原攻め」。そこまでは知っていたが、地震で崩壊したり、明治では廃城になったりと、苦難の道を歩んできたんだなぁ。

小田原城の説明板(English)

豊臣秀吉の小田原攻め図

「小田原攻め」解説板

小田原城のお猿さん。所詮、俺たちは企業のオリの中で飼われたサルリーマンさ(T^T)

箱根ビールがあるらしい。今回は買わなかったけど。

2013/07/21

不恰好経営

南場智子『不恰好経営』を読んだ。DeNA創業者の自伝。マッキンゼーからDeNA立ち上げ。笑いあり涙ありでとても面白い!満足度★★★★★。

この本を読むまで、南場智子さんも、DeNAがどんな会社かも、全然知らなかった。この本は大ヒットしているようなので、一般の人のDeNAという会社の理解がとても深まり、「社会認知度」が大幅アップするだろう。DeNAはプロ野球球団を持っているが、「単に社名を覚えてもらう」と「会社の生い立ちから事業内容の詳細まで知ってもらい、かつファンになってもらう」という点で、こちらの本の方が影響力が大きいのでは。やはり、今の時代は「ストーリー」は大事だなぁ。。ジョブズの伝記もそうだが、経営者の自伝がとても面白く感じる理由がわかってきた。脳が「ストーリーで理解する」のを好むから、だろう。

南場さんが「チームDeNA」と、"チーム"の大切さを幾度と無く強調していたのがとても印象に残った。社内、社外問わず「いかに信頼関係が強固なチームを築けるか」がビジネスで成功するポイントだと、最近よく思う。一人では仕事は成立しない。複数の人、会社が協力しあい、初めて仕事がうまくまわる。エコシステム(生態系)の構築。「ストーリー」とともに「チーム」が最近のキーワード。

南場陽子『不恰好経営

【南場語録】

・買ってもらえなかった時に、どれだけいい笑顔を見せられるかが、勝負なんだよ。

・コンサルタント時代には、クライアント企業の「弱点や、できてないところ」ばかりが目についてしまい、「大事なこと」に気づかなかった。普通に物事が回る会社、普通にサービスや商品を提供し続けられる会社というのが、いかに「普通でない努力」をしていることか。

・実際に実行する前に集めた情報など、たかが知れている。本当に重要な情報は「当事者」となって初めて手に入る。だから、やり始める前にねちねちと情報の精度を上げるのは、あるレベルを超えると圧倒的に無意味になる。それでタイミングを逃してしまったら本末転倒、大罪だ。

・あと10年もすれば、「組織に属して、仕事をするスタイル」は主流てまはなくなるだろう。「目的単位でプロジェクトチームが組成され、解散する」ようや仕事の仕方に変わっていくはずだ。そして多くの場合、「国境を超えた人材」でフォーメーションが組まれていくだろう。

(南場陽子『不恰好経営』)