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2016/07/10

さくら住宅

社員間の競争は、会社にとってマイナス。

カンブリア宮殿『さくら住宅』を観た。「どのようにして新たな仕事を獲得するか」という、ビジネスで一番重要かつ難しい課題へのヒントが満載。

その課題に対する答えとして、さくら住宅では、カンブリア宮殿では「黄金ストーリー」だが、世の中の多くとは正反対の法則が、社長の意志の元、色々と実践されている。 新規注文ではなく、「顧客との信頼」を優先。 地域密着サービス。 社員間での競争は禁止、などなど。

中長期的に結果を出し続けている会社の裏側(根底)には、こういった「人間性溢れるストーリー」が存在するんだな、と再認識。左脳(論理)一辺倒ではなく、左脳思考(理屈)と右脳思考(人間性、EQ、モチベーション・・)がバランスのとれた状態。簡単に言うと、ここで働きたくなる会社。そんな会社を目指したい。

■さくら住宅


【語録】

・住民を幸せにする「リホーム革命」。困った時の頼れる「住医」。小さな工事をきちんとやってくれると、次もお願いしたい心理になる。大きな工事も頼んでみようかなと。

・さくら住宅は「小さな工事」を快く引き受けることで、「大規模リフォーム」の受注につなげている。

・「お客様との距離」をどれどけ近くするか。手間を惜しんだらそれで終わりだと。

・営業トークはしない。「ここをやった方がいい」とか、こちらからは売り込まない。それは押し売りと同じだから。必要だったら、お客がかならず言う。

・地域密着サービス。18年連続黒字。基本的に「値引き」はしない。新規注文ではなく、「顧客との信頼」を優先する。

・ノルマ無し。社員間での競争は禁止。競争をやり始めると、社員間でお互いの心が離れていく。だから、競争はさせてはいけない。「いい月もあれば、悪い月もある」と認めてやらないとダメ。

(二宮生憲/さくら住宅社長/カンブリア宮殿)

2016/06/25

大和麺学校

大和的拉麺道。「プロ意識」さえ持ってやれば、短期間でプロとして通用するレベルに達することは十分可能!

テレビ東京の番組『ガイアの夜明け』を観た。今回のテーマは「新たなプロの育て方」。 登場する会社は、大和麺学校。そして、経営者は、大和製作所の社長でもある藤井薫さん。『トップになりたきゃ、競争するな』という藤井薫さんの著作を読んでいたので、実際に映像で観る今回の番組も、イメージを掴みやすく面白かった。

「わずか1週間でラーメン屋を開店できる店長を育てる」という麺学校のコンセプト。これも、藤井薫さんという「ラーメン作製」を知り尽くした人が企画する学校だから可能なストーリー。他では到底真似できない。今起こっている「世界的なラーメンブーム」の裏には、大和麺学校や大和製作所(あらゆる麺が一台で作製可能)のような立役者がいるだな。

「ラーメン」を他の項目に置き換えた時、例えば「自分が仕事で属するテーマ」に置き換えた時、今回のストーリーを応用した「仕組みづくり」ができるのではないか、と思った。世の中に役立つ、今までにない新たな「仕組み作り」。自社の強みをベースにしなしながら「新たなエコシステム(生態系)」を作る側にまわる。そんな取り組みができないかも、徐々に考えたい。

■大和麺学校
■大和製作所



【語録】

・大和製作所。社長の藤井薫さん(68歳)。川崎重工で航空機などを設計。地元香川で起業。小型製麺機で国内シェア1位。

・実際にやってみたら、「麺」が本当に面白かった。「どうすれば美味しい麺ができるか」ということに、考えが至って、深く掘り下げたら、知らない間に天職になってしまった。2000年に「大和麺学校」をスタート。3000人以上が卒業。

・1週間でラーメン店を開業できる。生徒が殺到。異色の学校。店を出すためのすべてが学べる。定員8人、授業料38万円、7日間の短期集中。「すぐにプロの味が出せる」と評判を呼び、受講するのに3ヶ月待ちという盛況ぶり。

・もともと製麺機のメーカー。小型製麺機「若大将」。長さもグラム数も調整できる。日本中のあらゆるラーメンの麺が1台でできる。

・調味料の分量など細かく「数値化」。その数値どおりに作れば、誰でもプロの味が確実に出せることを最大の売りにしている。

・きちんと数字で「何分間」とか「何度」にすることで、「常に一定の状態をつくっていこう」ということ。誰でもできる。

・デジタルクッキング。ここで完成したレシピを生徒が持って帰るので、自分の故郷で全く同じものができる。麺、スープ、経営のマネジメントも、1週間で学べる。1週間でスタート地点には立てる。後は、「本人の努力」と「プロ意識」で、繁盛するかどうかが決まる。

・下積みに長い時間をかけず、プロのスタート地点に立てる。この新しい育成方法で海外にも市場を広げる。海外からの生徒が非常に多い。今後、海外へ展開していこうと思う。

・「プロ意識」さえ持ってやれば、短期間でプロとして通用するレベルに達することは十分可能。国内海外関係なく、面白い店がどんどん出ていく。

(藤井薫/大和製作所社長/ガイアの夜明け)

デジタルクッキング

小型製麺機「若大将」

2016/05/22

ファクトリエ

「Made in Jpan」で世界に誇れるブランドを!

「やらないリスク」より「やるリスク」をとれ!

カンブリア宮殿『ファクトリエ』を観た。今回も「とても筋の良いストーリー戦略」だった。「志」「ブランド」「こだわり」「職人」「作り手のストーリー」「作りての価格決定権」「リスクをとる」など、弱者の競争戦略の「あるべき姿」の要素が網羅され、しかもバラバラでなく、つながっている。「一貫性」というやつだ。そして、なにより大事なのは、このシステム(仕組み)を作り上げた山田敏夫氏の手腕。こういう「新たにビジネスモデルを立ち上げる人」が多く出現できるかどうか(=環境づくり)が、日本社会の最優先課題だろう。「出る杭は打たれる」の状態では先行き暗い。

■ファクトリエ


【語録】

熱狂ファン続出で急成長。異色ブランドの秘密公開。メード・イン・ジャパンの底力、工場ブランドで世界に挑む。

創業2012年。社員5人。年商10億円に急成長。

すべてメード・イン・ジャパン。ネット通販専門のブランド。工場直販。現在34の工場と提携。その多くは欧州の高級ブランドに卸す高い技術を持っている。

ファクトリエの商品は「ストーリーを買う」感じ。ホームページには、「職人の顔や製造のこだわり」など、「工場のストーリー」が写真つきで載っている。

衣類の国内生産比率は、現在わずか3%。この危機的状況を何とかしたい、と思いファクトリエを作った。

提携工場が「やる気を出す仕組み」も考えた。商品の価格決定権を工場に渡した。販売価格に対する工場の取り分を50%に増やした。一般的なブランドは20%ほど。工場は売れる価格でいいものを作れば儲かる仕組みだ。

今までは、決められた金額で作って納品すれば終わりだったのが、世の中の人が買う事を意識し始めるので、「どういう縫い方、デザイン、シルエットがいいか」など、色々なことを話始める。それを考え出すというのは、凄く大きい話。

販売価格が決められるので、工場は技術や手間を惜しまなくなり、お客は質の高いものを、リーズナブルな価格で買える。

高級ブランドに比べたら、値段は高くないのに、品質は高い。職人のこだわりも価値あるものとして、ファクトリエはいいと思う。

メード・イン・ジャパンで日本から世界ブランドを作りたい。衣食住における日本製の価値は、日本の文化そのもの。

世界の一流ブランドを作っている工場を厳選している。品質は世界の一流ブランドに負けない。しかし、価格は工場が決めて、直販なのでリーズナブル、というのが特徴。

アパレル国内生産は危機的状況。30年前の1/10なので、ずっと右肩下がりの業界。しかし、歯止めはかけられる。世界の有名なブランドがこぞって日本で作ったりする。なので、仕組みを変えれば、技術が生かされるのを実感している。

私がやったのは、工場側が今まで培った技術を入れて、しかも工場の名前が商品に入るので、全力、全部注いで「いい物を作ろう」と。

工場がブランドを作る一番のメリットは、社内外のモチベーションだと思う。アイデアを出さなかったところが、出せば出すほど、いい物が作れる。技術力もつぎ込めるし、社員のモチベーションも上がる。好循環が生まれた。

グッチの女性社員から「日本には本物のブランドがない」と言われた。ヴィトンもグッチもエルメスも全部、「ものづくりからブランドは生まれる」という考え方。それならば俺が作ると、「職人の技術が生きるブランド」のファクトリエを立ち上げた。

アパレルの産地で、飛び込み訪問で、提携先の工場を探してきた。

「50%しか買い取らない」と決めたときに、工場が初めて、市場に対して、この値段で本当にいいのかと、主体的に考えるようになった。やらされ感ゼロ

「やるリスク」と「やらないリスク」がある。リスクはやることだけをよく言うが、「やらないリスク」は、工場が今と変わらない毎日。従業員が辞めたり、新入社員が入らないとか、色々なリスクをはらんでいる。実は「やるリスク」は計算できる。最近は「半分買い取ってくれてありがとう」と言われる。

(山田敏夫/ファクトリエ/カンブリア宮殿)


2016/03/04

国際二次電池展2016

東京ビックサイトへ。「国際二次電池展」がメインで、前職関係の「太陽電池展」や他エネルギー関係の展示会へ。あとは蓄電池関係の技術セミナーを2件受講。

昨年はこの展示会に参加できなかったので、久々に会う人が多く、近況を色々と聞けた。世の中、進んでいるとこは、着実に進化しているようで。世の中のトレンド情報を、少しバージョンアップ。栄枯盛衰を知る。

PVEXPO2016(第9回国際太陽電池展)in東京ビックサイト

セミナーの「テスラ」の公演内容は、簡単に言うと、「iPhoneのような電気自動車」を作っているという話。「日本流」である「日産リーフ」の公演の後だけに、テスラのビジネスモデルがいかにも「シリコンバレー流」で、興味深かった。

テスラのミッションは「世界の持続可能な輸送手段へのシフトを加速する」こと。テスラはただの自動車メーカーではなく、「エネルギーイノベーションに力を注ぐ、テクノロジー会社であり、デザイン会社」でもある、とのこと。

車体というハードだけでなく、「ハードウエアとソフトウエアの融合」にも重点を置く。自動運転(Autopilot)や人工知能の話も。テスラの車は常にネットにつながっており、毎日、車が学習して、走れば走るほど賢くなっていくのだとか。ビッグデータの活用が半端ないな。

また、テスラは電気自動車だけでなく、「Harvest Energy(創電)」「Energy Strage(蓄電)」にも力を入れており、「PowerWall」「PowerPack」という蓄電システムを開発している。

PowerWallのモック

会場では電気自動車とともに、PowerWallのモックが展示してあった。実物は思ったよりデカいなという印象。家庭用蓄電池とは思えないデザインが素晴らしい。これも、ダサダサ従来PCに対するMacのようなものか。

蓄電池のソリューションに力を入れる理由が、「Zero Emission」(エネルギー源としてガソリンの使用を世の中からなくしたい!)のためだけでなく、「世界から貧困をなくすための解決方法」という話も、「そういう考えなのか」と身体の奥にガツンと響き、にわかに体温が急上昇するのを感じた。「ミッション」とはこういうことを言うんやね。

「未来の生活」を見せるというプロモーションビデオも、テスラの目指す方向性を理解するのにとても効果的だった。まさに「ライフスタイルの提案」そのもの。夢があるあなぁ。ドキドキ感があるなぁ。

太陽光発電⇒蓄電池⇒電気自動車。やってほしいことは、テスラが全部やってるやん!(火星移住の宇宙船は、あまり興味ないが)。イーロンマスクは着々とスティーブ・ジョブズになりそうだ。

2020年にはテスラの電気自動車を買ってる気がする。iPhone を買ったように( ^ω^ )

2016/01/24

自遊人

カンブリア宮殿の今回のゲストは、雑誌「自遊人」社長の岩佐十良さん。「雑誌編集長」「旅館経営者」の二つの顔を持つ。

どちらも目的は「ライフスタイルの提案」。旅館経営の目的は「リアルメディア」。つまり、雑誌「自遊人」の提案内容を、実際に体験する「場」を作ったのが旅館「里山十帖」。岩佐さんの「志」が素晴らしい。「食」にこだわっているところにも共感する。とても面白いビジネス・ストーリーだった。

戦後、一般人の生活の中で、「テレビ⇒インターネット」という流れで、バーチャル(仮想空間的)なメディアが急速に発達した。人間は飽きやすいので、バーチャルが増え過ぎると、今度は反対に「実体験(リアル)」がほしくなる。その流れを的確につかんでいるのが、今回の岩佐十良さんが描く「リアルメディア」のビジネスモデル。

カンブリア宮殿の内容も、「紹介されるこだわりのビジネスモデルを知る⇒実際、サービスを体験する」という面白みがある。まさにリアルメディア。例でいくと「成城石井」「セゾンファクトリー」「ユーグレナ(ミドリムシ)」「コメダ珈琲店」など。いずれも、バリュープロポジション(「顧客が望んでいて」「ライバルが提供できない」「自社が提供できる」価値)の勉強になる。

雑誌「自遊人」は読んだことがないので、こんど書店でみてみよう。いつか旅館「里山十帖」にも宿泊してみたい。




【語録】

一度は泊まってみたい予約殺到の「体験型旅館」。新たな価値を地方でつくる。最新!体験型ビジネスの全貌。雑誌編集長が手がける「感動体験」ができる旅館。

舞台は、新潟の南魚沼市。150年前の古民家をリノベーションした旅館「里山十帖」。客室12部屋。一つとして同じ部屋がない。全てでコンセプトを変えている。

「旅のプロ30人が選ぶ日本一の名旅館」の温泉部門1位に選出。1泊2食付き、1人2万6904円から。客室稼働率は約90%(旅館の全国平均は約36%)。

雑誌『自遊人』の編集長。ライフスタイル提案。16年前に創刊。累計発行部数1500万部以上。

雑誌編集。旅館経営。旅館「里山十帖」は、本と同じ意味合いの施設で、僕らにとっては「雑誌の10個分の特集の要素」が詰まっている。10個の物語を提案する施設として、「里山十帖」という名前をつけた。

雑誌の中で提案した10個のテーマ「衣料」「食事」「住まい」「農業」「環境」「芸術」「遊び」「癒し」「健康」「集い」を実際に体験できる、リアルメディア。

稲作体験。食体験。住まい体験。ライフスタイルショップ「テーマ」。宿で使用している商品を販売。

宿泊する20時間で色々なことを体験してもらいたい。キーワード「リアルメディア」。メディアとして「雑誌で読む」よりも、「体験」してもらいたい。雑誌で「美味しい」というよりも、実際食べてもらった方が話が早い。確認作業よりも、最初に感じてもらった方が、その後勉強する場合でも、深く知ってもらえるし、より色々な情報を自分で得にいくようになると思う。

雑誌を作りながら、実は「リアルメディア」を持ちたいと思っていた。

旅館の概念が昔とは変わってきた。データで見ると、日本人が旅館に泊まる平均泊数が猛烈な勢いで減っている。理由の一つは「旅館が面白くなくなった」からだと思っている。今までの日本旅館は、「全てのお客様に満足してもらわねば」と、大きな宿も小さな宿も、みんなが思っていた。私としては「なんで」と思うとこがあった。

例えば、僕らが作っている雑誌は、ある程度ターゲットを絞る。ある特定の人が「自遊人は最高」と言ってくれればそれでいい。宿も同じように、「最高」という人と、「理解できない」という人がいてもいい。そうなってくると、雑誌に個性があるように、宿にも個性が出てきて、地域にも個性が出てくる。もっと日本の観光地や旅館に「個性」が出てくれば、業界全体が面白くなると思っている。

みんなが個性を出せば、もっと日本は面白くなる。

「焼肉店特集」を作ったときに、葛藤があった。語弊があるかもしれないが、正直言うと、「売れる本」をつくるには、載っているレストランはどこでもいい。「本当に美味しいかどうか」は、一切関係がない。極端な話をすると「写真の撮り方」「価格のバランス」「キャッチコピー」だけで、正直なところ「売れる本」は作れる。究極に突き詰めて言えば、題材が何であれ、本を売ることはできた。

「本当にいいもの」だけを伝える雑誌を作りたい。自ら出版社を立ち上げる。2000年、雑誌「自遊人」を創刊。宿が持つストーリーを、写真と文章でちゃんと表現したかった。今まで重視されていた「値段が安い」「コストパフォーマンス」「情報の鮮度」などは、どうでもいい。最高発行部数16万部。

重要なテーマの一つが「食」。インターネット販売も始めた。「本当にいいもの」を体験してもらう。

「食」を重視する理由。単純に「人間の身体は水と食べ物からできている」という話の中で、「健康な人」と「不健康な人」で何が違うのかを考えたら、「食べ物は凄く重要ではないか」と考えるようになった。色々な飲食店を取材する中で、その舞台裏をみていくうちに、やはり「食」によって差が出ると感じた。

「雪国A級グルメ」を認定して紹介。「永久に守りたい味」ということ。認定基準は、米は新潟、群馬、長野の指定地域のものを100%使用、野菜は県内産のものを50%以上使用し産地も公開、調味料は無添加・天然醸造で伝統的な手法で作られたものを使用。

B 級グルメは、戦後の苦しかった時代の食文化だと思っている。街おこしには大事。一方で、その土地本来の食文化が小麦粉(B級グルメ)の陰に隠れてしまっている。その隠れてしまっている、特に「お米を中心とした食文化」を、「永久」に残したい味として、掘り起こして、一緒に考えていこう、と呼びかけている。

(岩佐十良/自遊人社長/カンブリア宮殿

2015/12/05

梅原デザイン事務所

「田舎の魅力」を引き出すデザイナー。

今回のカンブリア宮殿のゲストは、凄腕デザイナーの梅原真さん。梅原デザイン事務所 は、「一次産業」にフォーカス、特化した高知のデザイン事務所で、社員数は2名。デザインで田舎の魅力を引き出す。しかも「商品プロジュース」まで手掛ける。うーむ、素晴らしい。デザインの力を使って、こういう仕事をしてみたい。キーワードは「高知、田舎、一次産業、デザイン、シンプル、オリジナル、足元の付加価値」。

梅原さんのビジネスストーリーを聞いて、次のように思った。左脳(数字、お金、論理的思考、近眼思考)ばかりで考えていると、都会との単純比較になり、短絡的に「田舎は何も無い、人口減少、課題山積み、ダメだ、絶望的」となる。しかし、右脳(デザイン、直観、全体俯瞰、遊び心)を使い、観察すると、「田舎の魅力」から「新たな付加価値(他にはないオリジナル な価値)」を見つけ、「新たなビジネス」に結び付けられるのではないか、と。梅原さんが「デザイン力」を用いて高知で実践しているように。

「左脳と右脳のバランス」を保って課題を解決。これぞ、新たな時代の「社会問題を解決する デザイナーの仕事」だ。


【梅原さん語録】

・「田舎の魅力」を引き出すデザイナー。デザインでローカルの問題を解決。地方にこそ豊かな宝アリ!

・デザインが商品よりオーバーして、語り過ぎたり、付加価値をつけ過ぎてはダメ。作り手の働いている風景が浮かぶ言葉を選んでいる。

・扱うのは「一次産業」中心の地方の仕事ばかり。「田舎のマイナス」は、考え方ひとつで「魅力」に変わる。

・みんな田舎はダメダメと言う。「やりようがない」「手の尽くしようがない」と言う。「自分の足元」を見ていったら、面白い事がある。社会とつなげば、新しい価値が生まれる。

・都会や大企業からの依頼は基本断る。

・ローカルが豊かでなければ、その国は豊かではない。足元をみて、モノを見つけ出せる国が豊か。

・地元にいいものがあるにも関わらず、別のものを作っている感じ。そうではなく、「そこにいいものがあるでしょう」と。

・商品名が浮かんで、パッケージのデザインが浮かぶのはほぼ同時。1.5秒くらい。打ち合わせが済んで、その段階でイメージはできている。

・絶対絶命のシーンに対して、エネルギーが湧き、モチベーションが上がる。「世の中から絶滅していいのか?」という思い。そこに「新しい価値」を見つけに行きたくなる。

・底辺の一次産業がしっかりすると、「産業構造の三角形、ピラミッド」が安定する。産業ピラミッドが逆三角形になりかけている。「全てのベースは一次産業」という思いがある。

・「波長が合わない人」とは仕事はやらない。典型例は「金が一番」の人。その人のやりたい事が良い事であって、エネルギーがあって、「いい」と思ったら、かなり難しい仕事でもやる。「儲かるか」は3番目くらいに考えている。「この人はやる気があるか」を見る。1番目は「面白いか」どうか。2番目は「その事業が成り立つか」どうか。水面下に沈んでいるものを表に出す喜び。

・沈下橋。渡るものだから、表面を歩ければいい。洪水のときは、川の力に逆らわなければいい。高知のオリジナルな考え方。「これくらいのデザインでいい」というお手本。「田舎にあるモノの価値」を見つけ出す、そうした足元を見つめることが、デザイナー梅原の生き方になった。

・人間に例えれば、沈下橋のような生き方がいい。無理やり自然に抵抗して、大きい橋を何十億円かけて造るのでなく、自然の猛威が来たら、静かにして、洪水が収まれば出てくる。この程度の社会や人間の考え方でいいんじゃないかと。

・「何もない」と思われているものから「何かを引き出そう」という発想。「みんなが捨てているもの」に目をつけて、そこに「新しい価値」を見出そう。

・「自分でいる場所の価値」は、自分では見つけにくい。しかし「そうですね」という人は必ずいる。そういう人と出会った時、仕事にスイッチが入る。

・「山と暮らしを再生」する取り組み。山が価値を持てば、周辺の町や村が生き返る。「新しい生き方を自分達が示す」ことできれば、地域はよみがえるのではないか。

・土地の個性を利用して、山に栗があるのなら、その栗で生きていく。育てることから商品まで山で作れたら、地域の人は食べていける。

・農業のやりにくい地域を「中山間地域」という。日本全体で73%が「中山間地域」。そこが疲弊して、モノを生まない。そこで、山に力を与え、栗が流通し始めると、山が生き返ってくる。全国あちこちではできないが、四万十地域から、自分達の生き方を示そうと。地域の生き方をまとめる役割。誰かがやらないと、地域が消滅していく。

・「地域の自立」に一番大事なことは、一言、「地方は自分で考えろ!」。

・30年くらい前「ふるさと創生事業」で国が各市町村に1億円を配布。地方は自立に向かう用意をしなかった。お金がくれば、コンサルタントなど外部に全部お願いして、自分で考えない。「地方創生」と言う国が悪いのではなく、受けてのローカルに問題がある。今まで自分で考えてなかったから、「考える力」がついていない。これが実態。「自分で考えなさい」そうすと芽が出てける。

梅原真/梅原デザイン事務所/カンブリア宮殿)

高知県の沈下橋

2015/04/19

鳥貴族

夢を追い続ける。280円均一焼き鳥チェーンの「ぶれない経営」。

今回のカンブリア宮殿のゲストは、「鳥貴族」の大倉忠司社長。鳥貴族は焼き鳥の全国チェーン。低迷する居酒屋業界で、一人勝ち状態なのだとか。「ジャンボ焼き鳥」なのに「280円均一」で提供できる理由が色々と解説される。

まさにポーター競争戦略の「フィット」、すなわち「何をして、何をやらないか」の部分。「絞り込む」、「やってはいけない効率化」と「やらなくてはいけない効率化」。具体的には「炭は使わない」「必ず店舗で串打ちする」「路面店にこだわらない」「タレは自社で製造」。「なるほど」と納得する面白いストーリー。そりゃ、絶大な支持を得て大繁盛する訳だ。

後半は、大倉忠司社長の「情熱」。夢を追い続ける経営者の姿勢が素晴らしい!今回もとても良い経営者の話だった。残念ながら、「鶏肉嫌い」なので、好んで「鳥貴族」に行くことは無いと思うが・・。牛串か豚串だったらいいのだが。


【語録】

・「国産国消」への挑戦。鶏肉には100%国産の鶏肉を使用している。新鮮なものをお客さんに提供できるのが、第一のメリット。海外産は冷凍品になるので味が落ちる。

・事務所はお金を生まない。お金を生まない所には、お金をかけないように心がけている。そういうことが全部重なって、280円均一で焼き鳥が売れる。

・「家飲み、宅飲み」がライバル。

・鳥貴族の形態は、私が素人だったときに、「違和感」があったことはやめて、「感動したこと」をやろうと。それだけ。

・「総合居酒屋」はメニューが何でもある。そういう居酒屋は厳しくなっている。売り物が明確な「専門店」の方が支持を得られるようになっている。

・現在396店舗。2021年には1000店舗を目指している。独自の調理器具(電気グリラー、自動ビールサーバー)と人材育成で大量出店。

・マニュアル。ルール通りに教えることを大前提として、「何のために、なぜ必要なのか」理解させる教育方針がある。

・25歳で独立。最初から全国チェーン展開を目指した。全取締役が元アルバイト。

・聞き上手だった。人間が好き。長所しか見ないタイプ。あまり短所は見ない。いい所だけ見るから一緒にやりたくなる。もし彼らが途中で辞めた時は、私の責任と言った。私が「創業からの約束」を裏切ったからだと。目標を目指して進んでいたので、「社長の言うことは本当だ」と思ってくれた。

・最初にありきは「夢を追い続ける」こと。他のマイナス面はなくなる。

・大倉の人生哲学「後悔しながら死にたい」。「最後は満足して死にたい」と人は思う。しかし、満足した時点で追い求めるものがないということは、生きていても、生きる価値がない。亡くなる際まで「あれをやりたい」「こうしたい」と思えば、ずっと輝いて死んでいける。「よくやった」という時点で、進化は止まってしまう。

(大倉忠司/鳥貴族社長/カンブリア宮殿)



2015/02/17

関西ペイント

「自前主義」から脱せよ!

カンブリア宮殿の今回のゲストは、関西ペイントの石野博社長。「トップが変わると会社はここまで変わるのか」よいうお手本のようなストーリー。石野博社長の言葉一つひとつがとても熱い。やけどしそうだ。「経営のプロ」とはこういうトップのことを指すのだろう。社長自らが「グローバル展開」の先頭にたち、アイデアをぶちまける。そりゃ、社員のモチベーションは上がるな。

「オリジナルな技術力」が高く、「世界一」や「オンリーワン」な日本メーカーは、まだまだたくさんあるはずなので、問題あるのは、その会社の潜在能力を生かし切れていない「プロの経営者不足」の点だろう。社内で育成できていないのなら、外部から来てもらう選択肢が、その会社の利益になるはず。技術だけでなく、経営者も、今回のキーワード「脱・自前主義」につながる。

今回のカンブリア宮殿(関西ペイント)も、「グローバル展開へのヒント満載」で面白かった。前社長の「(石野博社長は)常に情報をとって、常に動いて、常に考えている」という言葉が一番印象に残った。

石野博社長(関西ペイント)

【語録】

・創業1918年。世界拠点36ヵ所。社員約1万2000人のグローバル企業。塗料業界No.1企業。

・やはり「スピード」。アクションを早くしないと、他社と同じレベル。そうすると、「差別化」できない。

・細かい視点で、細かい所まで入り込んで、助言してくれる社長はいなかった。

・危機感。自動車用塗料が占める割合が5割近く。少なくとも1本足ではなく、2本足。こういう形にならないと生き残れない。「新しい切り込み方」や「差別化できるやり方」を考えなくてはいけない。⇒新たな柱となる塗料。

・漆喰塗料。漆喰、消石灰けら作られる粘土質の建築素材。湿度調整の機能があり、モノを保管する蔵などの壁材に昔から使われてきた。温度調節効果。しかし、材料費が高く、左官技術が必要。

・関ペはそこに目をつけ、液体状の漆喰塗料を開発。自分で塗ろうと思えば、ローラーやハケで塗れる。これを塗料化しているのは、うちしかない。漆喰塗料かわ菌やウイルスを吸着、増殖を抑える効果がある。


・目線を変えてチャレンジしていく。普通のやり方ではできない。発想を変えればいい。「どうやればできるか」絶対に道はある。ヒントは色々なところにある。

・常に情報を取って、常に動いて、常に考えている。今後の関西ペイントの海外部門を背負っていくのは、石野が一番適任だと。(前社長)⇒海外市場の開拓を期待。

・「伸びるマーケット」に対して、各グローバル企業が投資を集中している。ある意味「陣取り合戦」。こういうのは、先に行って陣を取っておかないと、後からでは難しい。後5年くらいで世界の寡占化(かせんか)は終わる。

・石野の海外戦略「脱・自前主義」。ビンラディングループ。サウジアラビアの公共事業のシェア7割。信頼のおけるパートナー。色々なプロジェクトを取る。彼らの力が役に立つと思っている。

・「脱自前主義1. 主導権を持たず現地企業の力を借りる」

・南アフリカ。未開拓市場。市場として潜在能力が高い。競争相手がいない間に旗を立ててブランドを樹立する。

・「脱自前主義2. 現地日本人ゼロ」。なぜ日本人を置かないのか。必然性がない。日本人が行くと、その国のことがわからないから押し付けになるし、学ぶのに時間がかかる。我々にそんな時間はない。

・関西ペイントのやり方(関西ペイントウェイ)を分かってくれる人であれば、その国・地域の人がベスト。共有しているもの、それは「信頼」。「信頼」があれば、日本人ではなくて、その国の人が一番いい。

・「日本のやり方」で全部やっていくと、向こうはつまらない。「利益も吸い上げられる」という感覚を持つ。「相手の良さ」を尊重して走ってもらう。「利益をちゃんと折半する」と言うと、これが一番受け入れられる。

・日本企業は「自前主義」にこだわり過ぎる。(村上龍)

・別に自前でも、脱自前でも何でもいい。スピードを持って効率良く利益を上げながら「信頼」を崩さない。こうやっている結果が「脱・自前主義」で、「脱・自前主義ありき」ではない。

・お客さんが求めているものは本当は何なのか?できるだけ本社が決めるのではなく、そこの場所、現場に近い人達が決められる仕組みを作っていく。こういう企業になりたい。

・単に日本のやり方と違って、各国はやり方が違う。じゃあ、これを学ぼうと。みんなでレベルアップをしようと今やっている。販売でも、生産でも、商品でも。「ベストプラクティス(最善の方法)」、いいものを見て、受け入れて、エゴを捨てようと。「俺がベストだ」と思うと、エゴが強くて、なかなか受け入れられない。目的で最短のとこに行くためには、エゴを捨てた方が早い。それでやりましょう、というのが、みんなの中で浸透しつつある。

・「独りよがりを捨てる」ことが、目的達成の近道。

・「利益、投資、リスク」これは全部シェアできるように。各国に「何かあったら全部あげてこい」と言っている。でも、「やり方は任せる」と。

・そういう意味では、「日本はまだまだ周回遅れだ」と思っている。まだまだやらなくてはいけない事がたくさんある。「やれやれ」と。「新しいやり方でやれ」と。組み方も、買収ではなくて、提携や部分的など、色々なやり方がある。「どんどん革新しろ」と。

・石野さんの素晴らしいところは、私達に自由にやらせてくれる。決して何かを押し付けるのではなく、いつも「君達が重要だと思うことをやってみろ」と言ってくれる。

・「脱自前主義3. 仕事のやり方は現地に一任」。

・日本の生産レベルが抜きん出て高いというのは幻想。

・グローバル会議。みんながシェアできる雰囲気や場をつくる。みんなのレベルが上がる。しかも素早く上がる。

(石野博/関西ペイント社長/カンブリア宮殿)

グローバル会議 ⇒ アイデア、情報の共有

2015/02/15

雅叙苑

「観光」とは何か?「地域の素材」を観光資源に変えろ!「田舎の日常」こそが観光資源だ。

カンブリア宮殿の今回のゲストは、雅叙苑観光の田島健夫社長。鹿児島の霧島で、究極の絶景温泉宿「天空の森」と、古民家を移築し「忘れの里雅叙苑」を経営。「自然と地域性」にこだわった高級旅館。観光業の常識を打ち破る独自戦略、奇跡のオンリーワン。

これからの観光業界だけでなく、日本のサービス業がが目指すべき「アイデア」がたくさん詰まった内容で、とても面白かった。霧島の大自然の中で、「感動」や「驚き」が沢山詰まっている温泉宿。もう一度観たい。そして、死ぬまでこの究極の宿を体験してみたい。自分も「エネルギー」関係のメーカーの仕事だけでなく、雅叙苑のような「地域のオリジナル」にこだわった、「食・宿・観光」のビジネスにも関わってみたくなった。

今、脚光をあびている経営者は、20年も30年も前から、試行錯誤しながら、独自戦略をすすめている。短期にできる「コピー商品、コピーサービス」と違い、「オリジナル」は中長期の時間軸が必要と、カンブリア宮殿に登場する経営の皆さんのストーリーを色々と聞いて思った。インスタントなコピー商品に対して、「オリジナル」はマッサンのウイスキーみたいな「熟成」だな。



【語録】

・日本の場合は、観光産業はコピー産業。観光はオリジナルなはずなのに。何かいいものがあると、それを持ってきて真似する。

・風景や食材や土地の文化、地域にある素材を磨きあげ、他にない「オンリーワン」を作り上げる。それが田島流。

・「お客さんによって、求めるサービスは違う」と気づいた。都会の人が求めるのは「ふるさとの風景」。観光は「娯楽」ではない。観光は「地域文化産業」だ。


・「街の匂い」や「食べ物の味」という、器官を通じて観ることが「観光」ということではないか。そういう意味では「ショーウィンドウ」。私達は、日本の、あるいは鹿児島のショーウィンドウにならなければならない。

・これが「観光」。実に簡単な話だけど、大学や専門学校で配膳の仕方とかを教えても、「観光」と「地域」の関わりや、「観光の定義」の教育ができていない。

・ただ、絶対素晴らしい観光が日本には芽生えていくと思う。「素材」はあるが、その「素材」を「資源」にしていく脚本が書けないだけ。僕は当たり前の事を当たり前にやっているだけ。

・「ルレ・エ・シャトー」(地域の魅力を独自の個性で伝える一流ホテル・レストランの会員組織)。世界的権威。世界に唯一無二とい意味。世界に誇れるという証明。日本の会員は15施設のみ。そのメンバーとして雅叙苑(がじょえん)が選ばれた。

(田島健夫社長/雅叙苑観光/カンブリア宮殿)



忘れの里雅叙苑

【ルレ・エ・シャトーとは】

1954年にフランスで誕生した「ルレ・エ・シャトー」は、世界的権威を誇るホテルとレストランの会員組織。ルレ・エ・シャトーは創業当時より、「5C」で表される基準による厳格な審査をクリアしたホテルとレストランのみに加盟を認めてきた。選択基準となる5Cとは、「Courtesy (心のこもったおもてなし)、Charm (洗練された魅力あるスペース)、Character (特色や個性あるスタイル)、Calm (落ち着きやリラックスできる場所)、Cuisine (質の高い料理)」で、この5つの要素がすべて満たされていなければならず、「すべてにおいて本物である」ことが求められる。


2014/09/06

辻調理師専門学校

徹底的な「本物主義」。次の料理界を担う「人材」をどう育てるか。

カンブリア宮殿の今回のゲストは、「辻調グループ」代表の辻芳樹さん。辻調、つまりあの有名な「辻調理師専門学校」。「世界三大料理学校」と称される日本最大の「食の教育機関」、卒業生13万人。創業は、辻芳樹さんの父(辻静雄さん)が読売新聞の記者をやめて設立。個人としても「奥深いフランス料理の研究」で、フランス料理の歴史に名声を残す。

料理の専門学校なので「テクニック重視」かと思いきや、徹底的な基礎力を身につけた上で「考える力」「学ぶ力」を身に付けることを重視。「覚えた料理の数」ではなく、「どういう思考過程でこの料理が作られているか」を理解できれば、レシピはそこから派生して数多く作れると。とても「生徒思い」の経営者の考えだ。社会に出た後、生徒が料理人として、自立していけるようにと、教育に様々な工夫(実際の店舗で実習、フランスに学校を設立、本物の食材を使用など)をこらす。「人材育成」にかける情熱の理念が素晴らしい。

料理の世界だけでなく、「技術者」を育てる大学(工学部など)も本来このスタイルであるべきだろう。知識を詰め込むだけでなく、「基礎力+創造力、学ぶ力」。社会に出ると、大学で学んだ当時の最新知識はすぐに陳腐化するので、「新しい事を学ぶ力(吸収力)」が重要になる。

辻芳樹さんや辻調グループの「料理人を育てる」という熱い理念がひしひしと伝わってきた。卒業生(萩シェフ)で「1日に1組だけもてなすスタイル。野菜を提供する農家にもブランドがつく」という話のところはとても感動的だった。これぞ「創造力⇒オリジナリティ」。見習いたい。

■1日1組のフランス料理店「Hagi」


【語録】

・「ただ単に言われた事をやって、それがどういう料理につながっていくかを全く考えないで、やみくもに苦労する」というのが悪いパターンの組織だと思う。いかに一人一人が「労働力」ではなくて、「考える戦力」として、調理場で働いていられるか。そういう人材を我々は作っていきたい。

・料理を理解するというのは「味覚で分かる」「頭で理解する」「技能で再現できる」。この3つがないと、料理は絶対にできない。

・「どうやったら自主的に彼らが能動的に勉強するようになるか」「最終的には、彼らが就職した時点で、自分がどういうキャリアで、どういう料理を臨みたいのか」「どういう料理を探し当てて、その道に自分の人生を捧げたいと思える」まで、この3つを在学中に、何とかして与えたい。

・「言われてやる仕事」というのは、「仕事」ではない。

・「料理」というのは、とことんまで「芸術」に近い世界でありながらも、「芸術」になってはいけないものである。それぐらい、高貴な深みを持った職業に携わる人達に、凄く敬意を表したい。その人達を我々は育てているという気持ちを私だけでなく、全職員が持っている。

(辻芳樹/辻調グループ代表/カンブリア宮殿)

2014/08/31

浜中町農協

「私がやってきた大抵のことは反対されなかったことはない。」

今回観たカンブリア宮殿のゲストは、北海道浜中町農協組合長の石橋榮紀さん。農協といういかにも堅そうなイメージの組織にも、変革を行っている凄いリーダーがいるんだ、といつもにも増して興味深い内容だった。変革者は、「異端児、変わり者」と呼ばれるのは、世の常。石橋さんも、まさにそのままのストーリー。そして、「先見の明」が凄い。分析機器を導入して「データの見える化」⇒牛乳の「高品質化(差別化)」、酪農者の「働き手の環境づくり」に、スーパー経営、土木業者の仕事などの「街の生態系づくり(エコシステム構築)」と、勉強になる内容がぎっしり。

「ハーゲンダッツに採用されている牛乳!」という宣伝文句も、記憶に残りやすく、素晴らしい。自社の製品を売るときは、こういった顧客の印象に残りやすい「特別な宣伝文句」を考える必要があるな。番組を観始めるとき、今回のンブリア宮殿のテーマは「ハーゲンダッツ」と勘違いしていた・・。人間の認識はいかに適当か。「ハーゲンダッツ」というネームバリューが高いブランドを利用して、「浜中町農協の4.0牛乳」の高品質イメージのブランドを世の中に拡散させる。お見事!


【石橋さん語録】

・数々の改革を成し遂げた農協の異端児。酪農で飯を食うためには、酪農に必要なことは何でもやろうと。他がどうであれ、うちが必要だと思ったことはどんどんやる。

・農協は組合員にサービスするところ。全てがそう。組合員の経営と生活を守るために、それぞれが役割を与えられて、仕事をする。組合員のサポートをする役割を果たす。

・「いい牛乳」というのを「見える化」にしようとデータを示して「これはいい牛乳」としたい。そのためには酪農の生産要素を全部「データ化」していこうと。合わせて、酪農家の経営をサポートして、コストを下げていこうと。「データを見せる」ことによって、牧場にまく肥料も吟味ができる。肥料も無駄を減らしていくことで酪農家の所得が増える。そのために作ったのが、「酪農技術センター」だった。

・私がやってきた大抵のことは反対されなかったことはない。

・幸せ酪農。酪農ヘルパー制度。酪農農家が休みを取るための制度。

・土木建設業者にも、生き残って仕事をしてもらえるような「環境づくり」をしていくのも、農協の仕事。

・地域の生活を守って「生きる、働く、暮らす」ことができればいい。躊躇していても何も生まれない。とにかく前に進もうと。無駄な不安を持つよりも、根拠がなくても、自信を持ってやろうと。

・農協は「補助金漬け体質」になってしまっている。補助金を何が何でももらってやろうと、陳情行政をやる。そうじゃなくて、私が最近言っているのは、「自主・自立でいこう」と。どうせ国だって、北海道だって、金がないんだから。「当てにしないで、自分達でやっていこう」と。「アイツは変わり者だから仕方がないな」というのが周りの評価。

・農協の上部組織からどう言われようと、「うちの組合員に飯を食ってもらわなきゃいけないから、あんた達の言うことは聞けない」と話をする。それは、その農協が「組合員のために仕事をしているかしていないか」だけの差。変化はある。

・上部組織は「農協のために仕事をする」ということを忘れてしまった。組織は大きくなれば、「自分の組織を守る」ようになる。それに従わない農協も増えつつあるのも事実。

・農場を新規就農者に提供。必要だからやるだけの話。今、新規就農者を入れたくても、人材が見つからないのが全北海道の悩み。だから、うちのようなやり方をやろうという動きが、ようやく生まれてきた。

・自分の目標、夢をしっかり3年間の研修中に作れと。「俺はこういう酪農経営をやりたい」という目標を作って、新しい牧場をつくる時に、「こんな酪農がしたいから、こうしてください」と注文をつけろと話している。「夢を持て。自分の夢をきちんと形にして持て」と。

【デスク上のメモ】

人がどう思うかではなく、自分がどう思うかを大切に。

効率を優先させない。

何が大切かを見極める。

摩擦や揉め事を恐れていては、何も前に進まない。

地域再生は「相互扶助の精神を再興」することから。

(石橋榮紀/浜中町農協組合長/カンブリア宮殿)

石橋さんの卓上メモ

2014/08/09

モスバーガー

「日本流ハンバーガー」

2013年8月15日 放送、カンブリア宮殿のゲストは「モスバーガー」の櫻田厚社長。自分も「モスバーガーファン」の一員であるので、とても興味深かった。ITはMacファンだけど。

好きな「ブランド」の生い立ちの歴史や製品開発のストーリーを知ると、増々ファンになる。モスではいつも「テリヤキバーガー」ばかり食べているので、今度は「ライスバーガー」、とくに番組でも紹介された「モスライスバーガー海老しんじょ(350円)」を食べてみよう。

台湾でも、モスバーガーは、もの凄く人気があるらしい。ライスバーガーが圧倒的に1番で売れているとか。そういや、出張で台湾に行くと、街の色々な所で「モスバーガー」を見かけるな。「Japan」ブランドの代表格の一角になっている。

「日本らしさ」を売りにする。モスバーガーの根底思想。「おもてなし」思想も、直接は語られなかったが、ちらほら。そりゃ日本人が好きになるわけだ。そして外国人にもウケる。「コピー」ではなく「オリジナル」。日本のビジネスで、ハンバーガー以外でも、この発想は使えるはずだ。


【語録】

全国に1400店舗あり、売上が900億円を超える。

1971年にマクドナルドが日本初上陸。「日本にハンバーガーブームがくる」と確信。1972年にモスバーガーを初出店(東京・成増)。櫻田厚社長は、当時の第一号店の店長。

モスバーガーの「MOS」の由来。Mountain(山のように気高く堂々と)、Ocean(海のように深い心で)、Sun(太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って)。「広く大きな自然のような人間集団でありたい」という創業者の思いがこめられている。

日本で生まれたので、「日本人の心とか和とか」そういうものをいつも忘れてはいけないと思っている。

商品というのは飲食に限らず必ず「適正価格」「正価」がある。「値段を下げる」ということは、戦術論であると思うが、下げた時にお客は増え、元に戻すと離れる。これを繰り返しやっていると、業界では「消耗戦」になていく。そこは堂々と商品だけではなく、「サービス力を上げる」とか、「店をもっときれいにする」とか、「他の価値を上げていく」のが正攻法ではないかと思う。「ハンバーガーの価値を下げたくない」という思いは強い。

「直接何度も話し合う」こと。これだけメールの時代になってきて、「本当に理解しあっているか」確認できない。会って、分かってくれるまで、繰り返すしかない。面倒くさいことを、面倒くさがらずにやる。そうしないと、どこかで伝承できずに断線してしまう。

「直接会う」ことは、それ以上のことはない。言葉とか表情とか態度で、私も元気をもらえるし、私が言ったことに対して返ってくる。かっこよく言えば「相互理解」。

新しいメニュー「モスライスバーガー海老しんじょ(350円)」「とびきりハンバーグサンド(デミグラスソース アリゴ添え)」。

新商品開発はベースのところは「ゼロ」。ある程度の条件を与えると、その条件の中でしか発想は出てこない。個々の食材はいいが、合わせた時にバランスが崩れるものは作品にならない。「とにかくまずやってみなさい」と。

(櫻田厚/モスバーガー社長)

近所にあるモスバーガー

建物のデザインもGood!

よく見ると「Japanese Fine Burger」とちゃんと定義

昨年食べたモスバーガーの「トマト・レタス」



2014/07/20

Google採用基準の変化

武田信玄曰く「人は石垣、人は城」。企業にとって「人材採用」は常に重要な課題。少し前に「Googleは採用試験でこんな問題を出している!」というような本が流行したが、現在はそんな問題は出さない(仕事の成果との因果関係が無いことが証明されたから)、という記事が『クーリエ・ジャポン(8月号)』に載っていた。

Google採用責任者の、面接や履歴書で「いかに論理的思考ができるか」というロジックの示し方がとても参考になるな。いかにも米国的!

このようなロジック重視の話し方は、日本では「今どきの企業」にはウケが良く、昔ながらの「旧体質企業」には、逆になじまないというような気がする(論理的でない会社は、そのうち淘汰されると思うが・・)。この辺りの「ロジック欠如な組織」がいかにも日本的、と最近の日本の報道される様々なニュースを見てて思う。


【抜粋内容】

・もはやグーグルは面接において「突拍子もない難問」を突き付けたりしないし、学歴も成績も問わない。技術的な能力に加えて「5つの採用基準」を求める。一番重視するのが「一般認識能力」。様々な異なる情報を臨機応変に処理する能力。以下、「リーダーシップ」「謙虚さ」「自主性」と続く。一番低いのが「専門性」。専門家にその分野のことを尋ねると、「経験にこだわった答え」しか出てこない。素人の方が「新しく価値のある答え」を出しうるのだ。

・グーグルは「何をどこで学んできたか」よりも、「自分の知っていることから、どのような価値を生み出せるか」を大事にする。知らない事を調べるのはグーグルの検索エンジンに任せればいい。

・「教養」の重要性は以前より高まっている。特に「他の分野と結びつく」場合は大事だ。2つの分野が交わることで、興味深いことが起こる。それを実現し追求するためには、2つの分野に精通し、両方を結びつける必要がある。

・教養、つまりリベラルアーツの知識のもと、「総体的な思考ができる人」も必要だし、「機能的な専門知識がある人」も必要だ。そのバランスを取ることは難しいが、もし実現できれば、素晴らしい社会、素晴らしい組織を築けるはずだ。

・履歴書には、「自分の強みを明確に定義する」ことが肝心だ。「Xをすることによって、Yとこれだけの違いが生じ、Zを達成しました」という具合に書く。

・大半の求職者は、面接において「自分の行為の背景にある思考プロセス」を明確にせず、落とされてしまう。「思考プロセス」をうまく説明できないと高く評価されない。だから、「自分の価値を証明」するように語るべきだ。例えば「私にはAという特徴があります。それを証明するエピソードとしてBがあります。そしてCという理由で、エピソードBは特徴Aを説明できるのです」というように。

(ラズロ・ボック/Google採用責任者/COURRiER August 2014)

2014/07/19

きのとや

カンブリア宮殿の今回のゲストは、「きのとや」の長沼昭夫社長。「札幌でケーキと言えば、きのとや!」と言われるぐらい地元でNo.1の知名度を誇る⇒地域密着型経営。「創業3年目のクリスマスでの失敗(注文を取り過ぎて製造が間に合わず)」「1997年サルモネラ菌による食中毒事故(5日間営業停止)」の二つの大失態を糧にして、現在の「おいしさ」に優先する「安全・安心なケーキ作り」を掲げ、また「従業員を大切にする会社」(誕生日に御祝儀1万円+1日休暇、年3間万円のケーキ券配布、年1回の社員旅行)でもある、という話。

「社長がパティシエ(菓子製造人)出身ではない」というのも面白い。ケーキ作りの専門家ではないので、顧客目線に立てるという。なるほど。

「理念」を持った創業者が、地域性などのオリジナル(独自性)を生かし、智慧(アイデア)を駆使して「製品やサービス」を生み出し、苦難や失敗を経験し、それを糧にし成長し、顧客の要望をヒントにフィードバックして「製品やサービス」を磨き、そして従業員のモチベーションを大切にする。

今回の「きのとや」のストーリーも、よくある「カンブリア宮殿ストーリー」に多くが当てはまり、大変勉強になった。きのとやの場合は「北海道」というように、日本では企業が所在するその土地の「地域性」に焦点を当てれば、「強い面白い戦略ストーリー」が描けるな。

食品関係はもちろん、サービス業にしても製造業にしても。そこからビジネスの智慧、アイデアが生まれる。ビジネスは奥が深いなぁ・・。世に言う「学校の勉強」をいくら頑張って、例え極めたとしても、この「カンブリア宮殿ストーリー」とは分野が違う気がする。「学校の勉強」だけでは社会の役に立つかどうかは微妙で(≒未完成)、パズルのピースを全部埋めて完成させるには、「商売の勉強」も必要と思う所以。


【語録】

・札幌のケーキ屋。美味しさアップ戦略。作りたて。ひと手間を惜しまない。こだわりぬいた素材⇒自前の農場「きのとやファーム」で、ケーキに使う素材のフルーツを自社栽培。他所にはない販売方法⇒業界初のケーキ配達。

・美味しいケーキを作る「3つ」の方法。「最高の素材を使う」「鮮度」「手間をかける」。

・「ケーキは人を幸せにする」と考え、36歳でゼロからスタート。業界初のケーキ宅配。予約分だけ作る。宅配は宣伝広告費と割り切った。

・もっと社会貢献のできる、「きのとや」に勤めているプライドを持って、仕事をしたいという思いが社員にはあった。

・「いい会社」とは社長一人でできるものではない。社員みんなのベクトルが合ってつくるから「いい会社」ができる。まさに、そんな時代に入ってきている。みんなで作っていこうと。⇒「社員が誇れる会社を共につくる」

(長沼昭夫/きのとや社長/カンブリア宮殿)

・従業員との「信頼関係」が経営の根幹に関わる時代。

(村上龍/カンブリア宮殿)

2014/07/11

ラッキーピエロ

函館で地域密着型。東京には進出しない。

カンブリア宮殿の今回のゲストは、「ラッキーピエロ」の王一郎社長。函館で圧倒的な支持を得ているハンバーガーショップ、ラッキーピエロの地域戦略。大手チェーンの真逆を行く戦略。社長の話がとても面白かった。

「ローカル(地域)戦略」「オリジナル(独自性)」「感動」「口コミ」と、カンブリア宮殿ではおなじみの項目がずらり。これらが、大手チェーン店との「差別化戦略」につながる。王社長の口から自然とこれらの言葉が、信念も持った自信とともに語られる。さすが名経営者。函館にはまだ行ったことはないが、行ったときは「ラッキーピエロ」に行こう!こうして、「口コミの輪」が広がっていくのだろう。

全国チェーン展開して、「食うか食われるか」の「弱肉強食、レッドオーシャン」の戦いとは一線を画し、ラッキーピエロのような「地元で愛される、その土地ならではの飲食店」が各地でたくさん育てば、「店、従業員、客、地元」ともどもWin-Winの関係で持続可能なビジネスができる。またこれが、楽しい「食文化、観光」につながる。これからの食ビジネスの目指すべき姿だ。

その土地の「地元」というキーワードを武器にすれば、「お客が頭で食べる時代」に応える「ストーリー」を構築し易い。TwitterやFacebook、Blogといった「ネット」という文化が定着したからこそ、「脱均一」「脱効率化」のメリットが「認知度(ネットの口コミによる)」という形で得られるようになった時代背景がある(従来はTVのCM一辺倒)。それを生かさない手はない。


【王社長の語録】

・全国チェーン店のキーワードは「効率化」。効率的な接客と価格を、お客に提供することが、彼らの強みであり、優れているところ。私達は、そこでは競争をしない。「心に触れる部分」を表現していきたい。

・原価率は50%を超えている(一般は約35%)。売り上げが大きくなるほど、「高い原価率」が許される、と考えている。会社の規模がある程度の大きさになりながら、一つ一つの商品力が少しずつ増してくればいい。そして、「ダントツ地域No.1」になれればいい。

・「地元をもっと豊かにしたい」ので、できるだけ地元の食材を使っている。北海道一円に仲間がいる。理想はオール北海道。地元の農家が命を懸けて育てた作物の命を、そのまま、お客に提供するのが、私達の使命だと思っている。自分の仕事に愛情と誇りを持って、私達も命を懸けて、美味しい料理を提供するぞ、という思い。それは「人間関係」があるからできる。

・私が子供の頃は「食べること」が豊かさの象徴だった。「胃袋」で食べていた。それが高度成長期に入ると「舌」や「目」で食べるようになった。バブルが崩壊してからは、「これは誰がどういうふうに作ったか」と、お客様が「頭」で食べる時代になった。

・私達の店は「地域に役立つ」ためにつくっている。地域の人に愛されない店は、成り立たない。「成長」よりも、地域の人達の愛と幸せを集められるような「もうなきゃ困るよ」という存在になりたい。

・「空間自体」も全国チェーンの均一化に対抗して、全部違う表現にすることによって、お客様が来店動機によって、使い分けられるようにした。

・常連客は「えこひいき」されるべきだ。「超常連客をどうやって作るか」がビジネスで一番大切。

・ラッキーピエロでは、店舗が15あり、兄弟が15人いるというイメージ。大手チェーン店は一卵性双生児が10万人いるというイメージ。兄弟は同じDNAを持っているが、それぞれ顔が違う。共通項も一杯あるが、それぞれが個性を持っていて、地域の特徴にあった役目ができたらいいなと思っている。

・自分の好きなテーマしかやらない。好きだからこそ、それを突き詰めて、深く理解することによって表現できる。流行しているものはやらない。自分の好きなことしかしない。

・仕事をするときには、まず「お客を好きになること」「人を好きになること」が大前提。私達が、お客にいいボールを投げれば、お客からいいボールが返ってくる。お客を愛すれば、お客から愛してもらえる。オーバーではなく「地域の人と長く付き合える存在」になりたい。

・私達はレストランなので「美味しく」なければ話しにならない。1番目は「美味しい」、2番目は「安全」、3番目は「楽しく食べられる」、4番目は「面白い、びっくり」。「普段、味わえないことをラッキーピエロで味わった」と、みんなに教えたくなるようにしたい。

・私達の長期戦略は「お客に感動、感激してもらう」、お客との間に信頼関係を築いて、「口コミ宣伝マン」になってもらい、生涯付き合ってもらいたい。

・現代は、マスマーケティングのように、「一つの表現で、もの凄い数の顧客を獲得する時代」はもう終わったと思う。だから、「小規模な顧客グループに徹底的に楽しんで」もらえればいい。そういうふうに徹底して迫っていけば、少しは本物らしくなる。

(王一郎/ラッキーピエロ社長/カンブリア宮殿

2014/06/14

ファームドゥ

「信頼」が創る、農家も消費者も喜ぶビジネス。

カンブリア宮殿の今回のゲストは、ファームドゥ(Farmdo)の岩井雅之社長。「野菜の流通革命」で、農家も消費者も喜ぶビジネスモデルを構築。「新鮮な野菜はモノ凄く美味しい!」という言葉が番組中に何度も出てきた。「安価な中国野菜に負ける。しかも農薬漬けで危険」という悲観的な話が多いが、ファームドゥが行う「農業ー流通」のビジネスモデルが、「群馬-東京」だけでなく、日本全国に広がると、現代日本人の食生活が良い方向へ変わりそうだ。

「これからは農業だ」ということがプンプン匂う話が今回も登場。太陽光発電の下で農業を行うという今話題の「ソーラーシェアリング」もでてきた。エネルギーは太陽光発電で電気を発電して、各自で蓄電池にためる。食糧は、地産池消の地元の農業で。この二つで、ほぼ「自給自足」ができるようになれば、「外貨を稼がないと生きていけない」という呪縛やら脅迫概念が和らぎ、日本は人々が「安心」を持って住みやすい社会になるのではなかろうか。これまた『里山資本主義』につながる話。ということ考えながら、凄腕アイデアマン岩井雅之社長の番組を観た。


【語録】

巨大野菜専門店。ファームドウ。「食の駅」「地産マルシェ」30店舗を展開。1994年創業、年商73億円。契約農家数約5000軒。8割が群馬農家。東京で売る。

「地の利」×「独自流通」。農業ビジネス。レタスの鮮度の違い=流通の違い。野菜の美味しさで「鮮度」が占める割合は、葉物野菜の場合は80%。

農家目線で様々なサービスを生み出したきた。農家喜びシステム「値段は自分で決める」「売る店も自分で決める」「どんなモノでもOK」。「零細農家のビジネス集団」という革新。

若い人を農業に呼び込むには。「収入を安定させる」のが一番。農業をかっこいい産業にする。群馬県内に太陽光発電所を15箇所。ほとんどが耕作放置地。「ソーラーシェアリング」も検討。「農家との信頼関係」が生命線。モンゴルで日本式農業のビジネスを開始。

色々な人と会ったりしたときに、自分でピンとくるものがある。これは面白そうだ、というアイデアがまだいっぱいある。しかしある程度抑えないと事業ができない。農家も消費者も喜んでくれるから、やりがいがある。

(岩井雅之/ファームドゥ社長/カンブリア宮殿)

2014/05/31

ダイソン

日常の不満こそが発想の源。エンジニアこそが、メーカーの価値を決める!

今回のカンブリア宮殿のゲストは、英国掃除機メーカー「ダイソン(Dyson)」の創業者、ジェームズ・ダイソン。2006年に自伝『逆風野郎!ダイソン成功物語』を読んで以来、Dysonのファンだ。家の掃除機も今はもちろんDyson。エンジニアとして、「世界を変えたいなら、アドバイスを聞くな!(「これまでと全く違うことをする」のだから、アドバイスをできる人はいないはずだ)」というアドバイスが印象に残った。

ジェームズ・ダイソンの言葉から、Appleのスティーブ・ジョブズ、Amazonのジェフ・ベゾスらの偉大な創業者と同類の「自分が生み出す製品による社会変革」の信念、パワー、つまりPassion(情熱)を感じる。

「掃除機+デザインエンジニアリング」で、Dysonの「吸引力が変わらないただ一つの掃除機」サイクロン掃除機が誕生した。「太陽電池+デザインエンジニアリング」では、どんな太陽電池セル(モジュール)が生まれるのだろうか。

■カンブリア宮殿「常識破りの家電メーカー・ダイソン」



【Dyson語録】

「ぼくは賢い人間ではなく、根気強い人間でいるつもりだ」。5127個目の試作品で完成。

「他と同じ考え」でモノを作れば、「同じタイプの製品」しかできない。その場合、勝つための唯一の方法は、価格を下げて買う気にさせることなのだ。でも消費者はだまされない。「純粋に良い商品」を求めるから。結局、景気が悪くなった時に生き残るのは、「最高の製品を作っている会社」なのだ。

「失敗を乗り越えて、問題の解決策を探る」、それが人生というもの。学校では「一番多く失敗を乗り越えた人」に、最高点を上げるべきだと思う。

ダイソン氏が好きなデザイン。共通点は、全て、それまでの常識を覆した「画期的な機能」を持っている。

Design is only truly beautiful when it works properly.

ダイソンでは、「見た目の美しさ」のことではなく、「素晴らしい機能」を持った製品こそが、真の意味での「優れたデザイン」という。

一番大切なことは、「機能」が素晴らしいかどうか。理由は単純だ。見た目が良くても、機能が悪ければ、すぐに嫌いになってしまう。見た目が悪くても、機能が良ければ愛用するでしょう。

Dysonには社内にデザイナーは一人もいない。新たな価値を生み出せる優れた技術者「デザインエンジニア」というプロ達が商品開発を担っている。

ある問題点について、これまでのやり方を根本的に変えて、今までよりも良いやり方にする、それが重要だと思う。

私は「デザイン」と「エンジニアリング」は分けるべきではない、と思ってきた。デザインを「見かけのもの」だけだと思っている人もいるが、「使い勝手や素材、耐久性、全て」がデザインと関係している。

ダイソンにはデザイナーはいない。デザインもできるように訓練されたエンジニア(技術者)がいるだけ。⇒デザインエンジニア。

ダイソンの会社の魅力を一つ上げるとすれば、それは製品であって経営ではない。会社経営ではなく、製品が一番大事なのだ。良い製品を作れば、会社は発展できる。それが何よりも重要なことだ。

製品よりも会社が大事だ、と思った瞬間に問題が起こる。皆が社内しか見なくなり、経営ばかり気にし始めるからだ。

日本の問題は、マーケティング担当者が、「商品にちょっとずつ改良を加えることを良し」としている点。何かを大きく変えるのは難しいし、勇気がいる。莫大なお金をかけないと、新しい技術は生まれない。勇気を出して、多くの資金をかけることだ。

 エンジニア(技術者)こそが社会の様々な問題を解決できる。でも、まだ数が足りない。もっと若いエンジニアが必要だと思う。

私が絶対にしない事の一つがアドバイス。唯一できるアドバイスは「アドバイスは聞くな」ということ。「人と違うことをして、世界を変えたい」とする。「これまでと全く違うことをする」のだから、アドバイスをできる人はいないはずだ。

経験なんて必要ない。経験は過去に上手くいったことであり、将来うまくいくかどうかは関係ない。だから「アドバイスに耳を傾けるな」と言いたい。やりたい事をやって、絶対に諦めてはいけない。

(ジェームズ・ダイソン/ダイソン創業者)

我が家で活躍中の掃除機Dyson


2014/05/18

柿安

経営理念「おいしいものを、お値打ちに、提供する」のために独自戦略(オリジナル)の追求。

今回のカンブリア宮殿のゲストは、総菜店「柿安ダイニング」の赤塚保正社長。プロの料理人が作る「デパ地下の人気惣菜店」。今回は「食(惣菜)」の分野で、「独自技術」「高付加価値」「時代を先取りした業態変化」と、カンブリア宮殿に紹介される優良企業の要素を完璧に備えた会社。それらが何故できたか、というストーリーがまた面白い。

創業者の理念、そして訪れる最大の危機(今回はBSE問題)、その「ピンチをチャンス」ととらえたときに、現在の「百貨店内の専用厨房を用意し、プロの料理人が惣菜を作る仕組み」という独自戦略が誕生した。そして、また新しい事業をトップが立案し、現在進行形で開拓中。

一番印象に残ったのは「トップの本気度」。社長がここまで本気なら、社員もそりゃ燃える⇒本気になる⇒「人が動く」⇒会社業績が伸びる。この「会社トップの熱意」という"人間的な部分"が、「脱工業化社会」の21世紀の企業ではより重要だな、と思った。

柿安と言えば、京都駅ビルに「三尺三寸箸、JR京都伊勢丹店」がある。また今度行ってみよう。

■カンブリア宮殿「柿安」
■柿安

赤塚保正社長(柿安本店)
【語録】

デパ地下に革命を起こした店。女性に大人気の惣菜店。挑戦が伝統を守る!老舗企業のサバイバル術。

常識破りの「出来たて、プロ味」。日本初の「店頭厨房」を導入。 デパートの地下3階。柿安だけが持つ専用厨房。専用厨房を持つことが出店の絶対条件。料理人が作る出来たて惣菜。他ではマネできない味が客を引きつけていた。

お客を集める「攻め盛り」。お客の心を読む「司令塔」。店長権限「何をどれだけ作るのかを決められる」 。

柿安は、140年以上続く「老舗」。精肉店をメインに発展してきた。「すき焼き」「シャブシャブ」の料亭、「ビュッフェスタイル」のレストラン、和菓子の専門店も全国展開。「内食、中食、外食」のすべてを手掛ける「食の総合企業」。

食べ物は限りなく出来たての方が美味しい。美味しいものさえ出せば、お客が喜ぶ。お客が喜べば、自然とお客が集まり、ちゃんと成り立つ。

どうしても失敗を恐ると、挑戦しなくなる。そういう点では「失敗してもいいよ」と。店長の中でも商売感覚がある人は20代前半でも、どんどん挑戦していく。

柿安最大の危機。2001年に発生したBSE、狂牛病問題。牛肉離れが起こった。1億8000万円の赤字。柿安が出した答えは「従業員は一人も解雇しない」。人あってのモノづくりであり、経営。飲食店の大部分を閉鎖を決断。かわりに総菜店を集中的に出店。料理人に仕事を与えるために年間20店もオープンした。プロが作る惣菜が人気を呼んで、店は大繁盛。翌年にはV字回復。

2006年、先代から社長を引き継ぐ時に「一言だけ言いたいことがある」と。変えていけないものは「経営理念」。変えていいものは「経営理念」以外のすべてを変えていい。経営理念「おいしいものを、お値打ちに、提供する」。

伝統を守りながら、新しさも打ち出す。これが柿安代々の流儀。

老舗企業は「のれん」を守るためにどうしたら良いかを考え続けるが、柿安にとっての「のれん」は、ただ守るというものではなく、様々な形で失敗を恐れずに挑戦することで、伝統が引き継がれていく。

「140年の伝統で培った本物の味」と、「時代にあった業態を開発する力」、それが必要だ。時代の変化をキャッチして、切り替えるのは柿安・赤塚家のDNA。

第二の創業。そのきっかけは、2001年のBSE問題。肉が売れなかった。それを売れないと悩んでいてもしかたがないから、「今のピンチをどうチャンスに変えるか」を当時の社長は考えた。そこでチャレンジしたのが流行になると思われた「中食」惣菜事業だった。

過去の延長線上で経営をやっていても大体先が見えている。「それを絶対変えてはいけない」というものは語り続けようと思うが、それ以外のものは、時代の変化が激しいから、「どんどん今の若い世代の人達と中心にやっていきなさい」というメッセージだと思った。挑戦したから「老舗」になれた。

常にお客から見て価値があるか、価値感があるのかないのか。「値打ち」というのは、決して値段が「高い」「安い」ではなく、値段以上の価値があれば、「お値打ち」だと思う。

価格設定は一般的に「原価がいくらだから、売価がこう」と決められるが、「原価積み上げ方式の価格設定」は絶対に失敗する。

実際に原価率が高くても価値がなければ売れないし、原価率が低くても、お客が価値を認めれば商品は売れる。

「好きこそ物の上手なれ」という言葉がある。自分が大好きな事だったら、その事に対して一生懸命になれる。一生懸命になれるから、いい成果が出て、褒められる。そして、さらにいい成果が出るようにプラスのスパイラルになる。まさに「好きこそ物の上手なれ方式」。

(赤塚保正/柿安本店社長/カンブリア宮殿)


2014/04/13

キユーピー

得意分野を、どこまでも深く。

カンブリア宮殿の今回のゲストは、キユーピーの三宅峰三郎社長。キユーピーは「マヨネーズ」だけでなく、そこから派生した色々な事業を持つが、決して「多角化」ではない、いうのがポイント。知らなかったキユーピーの側面をみれて面白かった。

「自社の強みは何か?」それをドラッガーに言われなくても、昔から突き詰めている会社は強い。カンブリア宮殿に登場する優良な老舗企業は、「創業者」「中核製品(面白い波瀾万丈の開発ストーリー)」「高い従業員のモチベーション」と共通点があるな。

キユーピー社長曰く「取引先まで行って、使い勝手や要望を、研究開発や改善につなげている」から一歩も二歩もリード。これをせねば。そもそも、うちの「強み」「得意分野」「派生事業」は何だ?と自問自答。

自分は「マヨらー」か?マヨネーズは学生時代は好きだったが、今は「マヨラー」と自称できるほどではないと思う。


【語録】

マヨネーズのシェア65%。1925年に日本で初めてマヨネーズを発売。

マヨネーズを作ることにこだわってきた。一個のタマゴから1羽のニワトリが育つほど全ての栄養素が入っている。タマゴを守る作用が殻にも卵白にもある。そういった機能を引き出して応用することを進めてきた結果「タマゴ事業」ができた。「サラダ・惣菜事業」も、主役のサラダを食べてもらうためにできた。マヨネーズを中心に考えてきたからこそ、他の事業ができた。

独自の技術でユニークさを発揮していく。他社が同じ事をやっているとこに参入するのは、価格競争を生むだけで、意味がない。腰をすえて「自分達が得意なところ」を掘り下げる。その周辺から新しい事業が生まれる。

食品に革命なし。食べ物の世界に改善や改良はあるけれど、科学技術のような「革命」はない。だから、原料の持ち味をいかに消費者に届けるかが基本。革命ではなく「小さな改善」がキユーピーの理念。

食品の基本は「いい原料で、いい商品を作る」。技術も入れていくが、食品はコツコツとした研究開発。技術の積み上げが生きていく。

毎月同じ場所に継続的に広告を出すことが価値。地道にやっていくことが大切。料理教室とか長く続けていることは多い。

(三宅峰三郎/キユーピー社長/カンブリア宮殿)



2014/03/29

祐ホームクリニック

病院で死ねなくなる時代に挑む、「異色の経歴」武藤の医療革命!

今回のカンブリア宮殿のゲストは、武藤真祐さん(祐ホームクリニック理事長)。テーマは「高齢者の在宅医療」。武藤さんは、「医者」という枠だけにとらわれず、「社会問題」を解決するために、まわりの人達を巻き込みながら、組織化している。つまり「つなげ」て「ネットワーク」を構築。しかもITをフル活用して。21世紀型の仕事のやり方のお手本のようなストーリーだった。これは凄い!さすがカンブリア宮殿で紹介されるだけのことはある。熱意も半端ない。

「高齢化社会の医療問題」は、身近ですぐに実感できる大問題なので、「危機意識」を持つ人が今後急増するだろう。皆が問題意識を持てば、社会は変わる。エネルギー問題でも、「フクシマ原発事故」の前と後では、危機意識や問題意識が雲泥の差だ。後は、武藤さんのような「ネットワークを作れる」人達が、たくさん出現して活躍し始めると、社会は良い方向へ変わり始めるはず。

これまでの常識や枠組にとらわれず、「問題解決」のために、各人の仕事や社会活動が柔軟にできると、暮らし易い良い社会になりそうだ。会社という組織の内部も同様。エネルギー分野はもちろん、あらゆる分野で、そんな事ができる日本を目指したい。


【語録】

高齢者の 2030年問題。在宅医療。医師30人。看護師、アシスタントは16人。まさに「動く病院」。

ドラッカー365の金言』を朝礼で毎日読む。在宅医療の現場に「プロフェッショナリズム」と「マネジメント」を持ち込んでいきたい。自分が何かを言って動く組織にしてしまうと、どんどん新しいチャレンジや組織全体を大きくしていくことは難しいと思った。誰もがマネジメントの概念を分かって、その場で問題解決し、行動できる組織にしていきたい。

一人一人が現場を改善。「時間は患者のもの」。事務作業は徹底的に効率化。テープに録音して、カルテの文字起こししてもらう。「情報は全て共有」。

医療に「IT」と「マネジメント」を持ち込み、独自の医療を作り上げた。医者からマッキンゼーに転職して「企業経営」を学ぶ。

これまでは、地域医療に取り組む医師は、非常に思いが強く「1人で地域を支えていくんだ」と。ある程度きちんと組織を作って、質も保ちながら、その医師に何かがあっても、継続していく「仕組み」をどうやって作っていくかを考えた。

孤立化を防ぐ。昔のような「村社会」で実現していたことを、今の社会で求めても、それはもうほとんど不可能なので、ITも含めたり、色々な人達が情報を共有しながら、それぞれが情報を取ってきて、必要なサービスをつなげる「仕組み」を作らないといけない。

 困っている人に対して、自分の人生を使いたいと思うようになってきた。医師になってそれをある意味実現したが、だんだん医師をやっていると「もっと大きな問題があるんじゃないか」と。

ただ医師として何かをやるということの限界もだんだん分かってきた。それでえるならば、もう1度社会を広い目でも直したいと。何が必要かと思ったときに「マネジメント」や「問題解決能力」だろうと。それをどうやったら身につけられるだろうと考え、行った先がマッキンゼーだった。

「自宅での看取り」を1番大切にしている。

ただつなげればいいわけではなくて、それぞれの関わる人達に「どういったことをお願いしていくか」。そして我々が「何を価値として提供できるのか」ということをきちんと整理した上で、そのネットワークに入ってもらう、かなり地道な作業。

ただ1番最初に「こういうものをネットワークとして作って、何を目標にするのか」を考えておかないと、単に積み上げていくだけでは、「あるべき姿」にはならない。まずは「概念」を作って、その次に地道な作業を行っていく。

(武藤真祐/祐ホームクリニック理事長/カンブリア宮殿