正月休暇の課題図書だった(自己設定)、池井戸潤『ロスジェネの逆襲』を読んだ。証券子会社に出向した半沢直樹がIT企業の買収劇に絡んでロスジェネ世代とともに倍返し!満足度★★★★★。
年始そうそう、ロスジェネ世代サラリーマンの自分には、マジ熱い、バリ爽快な話だった(ロスジェネ語多用)。バブリー世代とロスジェネ世代の「世代間戦争」や、銀行組織の人事、企業買収合戦など、ハラハラドキドキの息詰まる展開。
「まさか!なぜ?」の展開が続き、ストーリー的にも完成度がとても高い。企業ミステリーもの?そのうち「半沢直樹シリーズ」の続編としてテレビドラマ化もされると思うが、ロスジェネ社員の森山君のキャストが誰になるか楽しみだ。そういえば、半沢直樹の妻の花さんが今回は出てこなかったのは残念。
半沢直樹シリーズは第4作『銀翼のイカロス』が週刊誌に連載中。単行本化されるのが楽しみだ。
それにしても、現実世界で「半沢直樹」や「倍返し」したら、共感する味方も増えるかもしれないが、敵も増やし過ぎて、仕事できなくなるなあ。下手したら、園子温監督作品の世界みたいに、ナイフで刺されるで。小説中だから「倍返し」を楽しめる。しかし、池井戸さんの「組織に属する悩めるリーマン」へのエールは直球ど真ん中に届いた。(^-^)/
「団塊世代⇒バブル世代⇒ロスジェネ世代」と表現されるが、結局、各世代に属していても、仕事ができるかどうかは、「個人の素質」による、というのも、印象に残った。そりゃそうだ。文句言うだけでは、解決しない。知恵を使わねば。
【半沢語録】
大量採用のおかげで頭数だけいるバブル世代を食わすため、少数精鋭のロスジェネ世代が働かされ、虐げられている。
バブル世代は「自分達を守ってくれるのは会社だ」と思い込んでいるかもしれない。しかし、ロスジェネ世代にとって、「自分達を守ってくれるのは、自分」でしかありえない。
組織に屈した人間に、決して組織は変えられない。
全ての働く人は「自分を必要とされる場所」にいて、そこで活躍するのが、一番幸せなんだ。会社の大小なんて関係ない。知名度も。俺達が追求すべきは、「看板」ではなく「中身」だ。
人事が怖くてサラリーマンが務まるか。
あるのは信念だけだ。正しいことは正しいと言えること。世の中の常識と組織の常識を一致させること。ただ、それだけのことだ。
ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価される。そんな当たり前のことさえ、今の組織はできていない。だからダメなんだ。
原因は「自分のために仕事をしている」からだ。仕事は客のためにするものだ。ひいては世の中のためにする。
その大原則を忘れた時に、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためだけにした仕事は、内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る。
戦え森山!俺も戦う。誰かが、そうやって戦っている以上、世の中は捨てたもんじゃない。そう信じることが大切なんじゃないだろうか。
(池井戸潤『ロスジェネの逆襲』)
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