2010/10/21

「もしドラ」現象

世間をにぎわす「もしドラ」。今回の「ドラ」は、ドラえもんの「ドラ」 ではない。まして、中日ドラゴンズのドアラも関係無い。「マネジメントの父」と呼ばれた米経営学者ピーター・ドラッガー氏の「ドラ」である。


岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を読んだ。弱小野球チームがドラッガー『マネジメント』の教えを駆使して甲子園を目指す青春物語。満足度★★★★★。

大ヒット中で、今まさに旬の本。「もしドラ」と略される。「ドラッガーの組織論(マネジメント)を高校野球チームに適応した」というアイデアは面白かった。日本で、「ドラッガー」の認知度が一般人まで広がるきっかけとなった功績は大きいと思う。

小説のストーリーとしては、予想どおりの筋書と結末、感動で、「期待を裏切る面白さ」はなかった。「分かり易い感動」の代表例みたいな本。こういった王道的な本もアリだと思う。そもそも大ヒットした理由の一つがこの「分かり易さ」にある。著者がテレビの放送作家ということもあり、「強み」が十分発揮されている。

「真摯さ(integrity)」「顧客の創造」「マーケティングとイノベーション」。ドラッカーのキーワードが随所に散りばめられており、その意味を考えるだけでも、非常に勉強になった。この本が、これからアニメ化されたり、実写版が作られたりして、ますます「もしドラ」ブームが盛り上がりそうだ。「もしドラ」現象が日本を変える!かもと期待。


【ドラッガー語録inもしドラ】

・「企業の目的と使命」を定義するときに、出発点は一つしかない。「顧客」である。顧客によって事業は定義される。

・「顧客を満足させる」ことこそ、企業の使命であり目的である。「われわれの事業は何か」という問いには、企業を外部すなわち「顧客と市場」の観点から見て、初めて答えることができる。

・マネージャーに必要な根本的な資質は才能ではなく「真摯さ」である。一流の仕事を要求して、自らにも要求する。基準を高く定め、それを守ることを期待する。「何が正しいか」だけを考え「誰が正しいか」は考えない。「真摯さ」よりも「知的な能力」を評価したりはしない。

・企業の目的は「顧客の創造」である。企業は二つだけの基本的な機能を持つ。「マーケティング」と「イノベーション」である。マーケティングとイノベーションだけが「成果」をもたらす。

・真のマーケティングは「顧客」からスタートする。「我々は何を売りたいか」ではなく「顧客は何を買いたいか」を問う。「我々の製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

・マネジメントは「生産的な仕事」を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない。「働きがい」を与えるには仕事そのものに「責任」を持たせなければならない。そのためには「(1)生産的な仕事」「(2)フィードバック情報」「(3)断続的な学習」が不可欠である。

・「成長」には「準備」が必要である。いつ「機会」が訪れるか予測はできない。準備しておかなくてはいけない。準備ができていなければ、機会は去り、他所へ行く。

・「人のマネジメント」とは、「人の強みを発揮させる」ことである。人が雇われるのは、「強み」のゆえであり、「能力」のゆえである。組織の目的は、「人の強みを生産に結び付け、人の弱みを中和する」ことである。人は最大の資産である。

・「消費者運動」が企業に要求しているものこそ、まさに「マーケティング」である。それは企業に対し、「顧客の要求、現実、価値」からスタートせよと要求する。企業の目的は「要求の満足」であると定義せよと要求する。収入の基盤を「顧客への貢献に置け」と要求する。

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